2010年05月21日

それでもイヌが好き

ファルコがパピーの頃にお世話になったトレーナーさんが、ある時こんなふうなことを教えてくださいました。
「犬には、"損"と"得" この判断基準しかないと思ってください。」

私は、理屈屋に類する人間で、迷信や思い込みを排除したいと考える質ではあるのですが、この言葉には多少の抵抗を感じたことを覚えています。つまり、「犬はそんな単純な生き物じゃなく、もっと人間に近い感性を共有できるんじゃないか?」というわけです。

そのトレーナーさんが犬のことをとても愛しておられるのはわかっていましたし、あくまでも行動科学的なトレーニングの心構えとしておっしゃられたはずで、その意味では当然だと頭では理解しつつ、何かもうちょっと情緒的なスタンスを残したいと思いたがっている自分がいたのです。

今私達夫婦は、できるだけ陽性強化のみを使うことを心がけたトレーニングを再開しています。その目的は、私達がファルコとより良いコミュニケーションが取れるようになり、絆を深めて、おたがいが楽しく暮らしていけること。
そんな中で、最近この本を読みました。

TheCultureClash.jpg
とっても読みやすく、かつ説得力のある文章で、昨今の犬の学習理論等がわかりやすく説明されている名著だと思います。

2011/12/29 追記:
実は現時点では、"昨今の犬の学習理論等がわかりやすく説明されている"とか"名著"だとは、これっぽっちも思っていません。この本で説明されているのは、行動分析学に基づく学習理論と、他の考え方をする方への主観的(非科学的)な攻撃です。ドナルドソン氏の認識への批判をこちらに書きました。ぜひご覧ください。


この本の中でも、(私を含む)従来型の愛犬家達が思い込みたいほどには犬は賢くないことが再三述べられています。しかし、同時に、そのことが人間と犬の関係にいささかの曇りをもたらすものではないことも!
とても気に入ったセンテンスがあるので、少しだけ引用させていただくことにします。

私たちは、イヌが深いしわが刻まれた人間並みの大きな頭脳と、人を喜ばせたいという本能を持っていると信じたがっている。ところが実際のイヌの脳は人間のものと比べればつるりとした小さなものにすぎず、しかもイヌは非常に自分勝手な生き物だ。それでも私はそんなイヌが好きでたまらない。
(ジーン・ドナルドソン著「ザ・カルチャークラッシュ」 p.192より引用)

なんか、救われたような、肩の荷が下りたような気になりました。
このブログの過去の記事でも、私は、賢い犬が好きだとか、will to pleaseだとか、優しい性格だとか... 人間の基準での表現を多用しています。行動分析学的なトレーニング(コミュニケーション)と、こういった情緒的な思い入れの共存(ギャップ)に、自分自身で戸惑いのようなものを感じていたのですが、「それで構わないんだ」と心から思えたのです。

人間どうしの夫婦や親友といった関係でも、相手のことを完全に理解できるなんてことはあリ得ないし、自分の価値基準や考え方を押し付けることは不可能なはず。それでも私は、(ニヒリストにとっては幻想かもしれない)愛情や友情を信じたいし、それで良いのだと思っています。角度を変えて言うと、相手との違いを認めてそれを尊重しなければ、本当の信頼関係なんて生まれないはず。
人と犬の関係も同じなんだと、あらためて気付いたわけです。

「ザ・カルチャークラッシュ」は、犬への愛情に満ちたトレーニングの入門書です。行動科学的なトレーニングに興味のある方には、ぜひ一読されることをお薦めします!

2011/12/29 追記:
実は現時点では、"犬への愛情に満ちた..."とは全く考えていません。ドナルドソン氏への批判記事をこちらに書きました。ぜひご覧ください。


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たとえアンタが"ピーマン頭"でも、人間の基準で言うと身勝手な判断基準で行動していようとも、とーちゃんはアンタを愛しているし、より一層の信頼関係が作れると"信じて"いるからね!

2011/02/10 追記:
"ザ・カルチャークラッシュ"におけるジーン・ドナルドソン氏のスタンスについての追記(後日の見解)がこちらにあります。

2011/12/29 追記:
ドナルドソン氏への批判記事をこちらに書きました。ぜひご覧ください。


MakingAnimalsHappy.jpg
今週手に入れた犬本。
英語力が無いくせにこんなの買っちゃって... 我ながら"おバカ"ですねぇふらふら
やさしい英語で書かれているようなので、がんばって拾い読みしてみようと思っています。

2011/02/10 追記:
"Making Animals Happy"読みました。その感想はこちら
posted by Tosh at 23:51| Comment(4) | 雑記帳