2011年03月04日

アレックスと私

ブログを始めた当初は、ごくごく身近な犬友達にしか"ファルコの小部屋"のことを知らせないつもりでいました。が、いつの間にか Googleにもクロールされるようになり、最近ではいろんな方が訪れてくださっていると認識しています。嬉しいやら、恥ずかしいやら、複雑な気持ちです。で、やっぱりどんなキーワードで迷い込んで来られるのかは少し気になるので、時々ブログの管理ツールで検索ワードをチェックしているのです。
というのは長い前置きで...ふらふら、10日ほど前、一つの検索ワードが目に止まりました。今回のタイトルと同じ "アレックスと私" という言葉。検索エンジンから辿り着いてくださるパターンとしては、Temple Grandin氏に関するものが意外に多いので、今回も"動物感覚"について書いた記事がヒットしているんだろうとすぐに気がつきました。そのなかで触れたアイリーン・ペッパーバーグ氏のヨウム"アレックス"くらいしかこの単語を使った覚えがなかったからです。

AlexAndMeE.jpg
それに、がんばって読もうと思って入手したものの"積ん読"になっちゃっている書籍↑のタイトルが同じだし... と考え始めてハタと気がつきました。"Alex & Me"ならともかく、"アレックスと私"で検索されたってことは、ひょっとして日本語訳が出たんじゃないかと...

調べてみるとビンゴ! 昨年末に"アレックスと私"として出版されていました。
残念なことに英語力が貧弱なもので、原本(ペーパーバック版)は、チラチラッとページをめくった程度で放置してあったのですが、日本語版があるとなるとスグに読んでみたくなりました。amazonさんに訊いてみると、在庫切れで半月以上待たされそう... そんなに待てない!というわけで、久しぶりに何件か書店を回って、ジュンク堂さんで無事に手に入れることができました。

AlexAndMeJ.jpg
この本(の原本)を読みたいと思った一番の理由は、テンプル・グランディン氏らの"動物感覚"の中で、ペッパーバーグ氏がアレックスを用いて動物の知能の解明に使われた"手本/競争相手方式"という学習方法に興味を持ったからです。この目的のためには"The Alex Studies"という学術書の方がより適しているとは思ったのですが、"Alex & Me"の方がやさしく読めそうだったのと、アレックスの死後に書かれたもので全てを包括しているであろうこと、そして以下の副題の後半に惹かれたからでした。
"How a Scientist and a Parrot Discovered a Hidden World of Animal Intelligence - and Formed a Deep Bond in the Process"

さて、"アレックスと私"では著者の名前がアイリーン・M・ペパーバーグとなっていますので、以降はペパーバーグ氏という表現に統一することにしますね。

この本は、学術書ではなく、ペパーバーグ氏の半生を振り返る自叙伝、そしてヨウムのアレックスの生涯の記録という体裁の読み物です。

お話はいきなりアレックスの死の直後から始まるのですが、興味を持たれて読んでみようという際は気をつけてください。私は混み合う電車の中でいきなり涙がこぼれそうになって慌てるはめになりましたから... アレックスを研究材料として割り切って(愛着/愛情を押さえ込んで)付き合い、なかなか認められない(中傷を撥ね除けながら)研究をがむしゃらに続けて来られた氏が、アレックスを亡くしてから自身の感情に正直になり、共に成し遂げた業績が素晴らしい(意味のある)ことだったと気付かれるシーンは実に感動的です。

幼少の頃の"原点"から理論化学の博士号を取るまでの話も興味深いのですが、動物の学習とコミュニケーションに関する"革命"的だった動物認知研究に転身されてからの苦闘と活躍は、へたな小説を越えるような波瀾万丈さでグイグイと読み手を引き込んでいきます。マイノリティな女性科学者であることや反主流的な考え方(と研究結果)に対する風当たりの強さに苦悩されながらも、信念に基づいて行動し続けられる姿(そして成果を上げられること)は多くの人を勇気づけると思います。

110215l.jpg
<本文とは無関係な挿絵: 2/15 大雪の朝の一コマです>

ペパーバーグ氏が方法論として採用した"モデル/ライバル法"(model/rival method あるいは model-rival technique)という学習法については、犬に応用した研究を中心に別記事にまとめる予定です。が、全くそれについて触れないと情緒的な話で終わってしまいそうなので、動画を一つ紹介させていただきますね。アレックスの後輩に当たるグリフィンの映像が多いですが、ペパーバーグ氏の訓練方法とその成果がよくわかるものです。が、埋め込みが禁止されているので こちらをクリックしてご覧ください。

2011/03/21 追記:"モデル/ライバル法"に関する記事を書きました。

それまでの常識を次々と覆して(ペパーバーグ氏の予想をも越えて)、アレックスは"音素"を認識し、"ゼロ"の概念を有するまでになります。(ペーパーバック版に付録されているインタビューによると)最終的には、50の物体の名前(ラベル)、7つの色、5つの形と 8までの数を理解するとともに、それらを組み合わせて物を同定したりカテゴライズしたり... といったことができるようになっていたそうです。

たった1ポンドの身体に、クルミほどの大きさの脳しかもたない(しかも大脳皮質にあたる部分がない)鳥にこれほどの"知能"があるというのは、正直に言うと、簡単には信じ難いと感じました。
ペパーバーグ氏の経歴等を見る限り、"クレバー・ハンス"のオステン氏のようなミスをするとは思えません。というか、本文の中にも出てくるのですが、主流派の研究者達によって準備された、徐々に明らかになる動物の知性を否定するためのキャンペーンが"賢いハンス会議"だったりするわけですから、その陥穽にはまられるはずはありませんね。
敢えてアレックスの能力を否定できる仮説を探すなら、ペパーバーグ氏が"レディー・ワンダー"のフォンダ夫人のような稀代の詐欺師であること。これもさすがに考えにくいでしょう。(この情報化の進んだ時代に)世界中の科学者をだまし続けられたとすると、それはそれで驚愕の事実ですが...

というわけで、ペパーバーグ氏とアレックスは、(哺乳類でさえない)鳥が充分なコミュニケーション能力を持ち、概念を理解し思考することを証明されました。途中は淡々と経緯を書き記されている感じもするの(とはいっても非常にダイナミック)ですが、最後の章 "彼が教えてくれたこと" では、ペパーバーグ氏は饒舌です。
アレックスと共に成し遂げられた功績を、"動物の思考が、大部分の行動科学者が考えていたよりもはるかに人間と似ているということ"、"人間は自分たちが長らく思っていたほど特殊な存在ではないこと"と分析し、さらには"自然界の本質は、いろんな側面が密接に影響し合ってひとつのまとまりを成している"と還元主義に対するアンチテーゼを(全体論の立ち位置にいらっしゃることも)提示しておられます。

110226j.jpg
<これも単なる挿絵: 2/26のお散歩の時の1カット>

"Alex & Me"ペーパーバック版の巻頭には、刊行への寄稿文?がいくつか載せられています。ラブストーリーでもあると紹介しているものも多いのですが、私をこの素敵な本に導いてくれた Temple Grandin氏のものだけを(意訳して)紹介しておきましょう。
"動物を愛する人皆さんに、この本を読んでいただきたい。アイリーン・ペパーバーグ氏は人間と動物の間のコミュニケーションについて先駆的な仕事を成し遂げられました。アレックスは人々が考えているよりも鳥がずっと賢いことを広く証明してみせたのです。"

同じく、ペーパーバック版の巻末には、日本語版にはないインタビューや FAQが掲載されています。それによると、アレックスが最後に取り組み始めていたヨウムの錯視の研究は、後輩のグリフィンに引き継がれているようです。アレックスが生き続けていたら、どんなにすごいことまでが明らかになっただろうという無念は、バトンタッチされたヨウム達が晴らしてくれるかもしれません。楽しみですね。

FAQの最後は、とってもシンプルなもので締めくくられています。原文のまま転載させていただきますね。
Q: How do you now feel?
A: I still think of, and miss, Alex every day.


全体をラブストーリーと呼ぶかどうかはともかく、この書籍がペパーバーグ氏からアレックスへのラブレターでもあるのは間違いなさそうです。
読み物としても素晴らしい一冊でした。ぜひご一読を!
posted by Tosh at 23:58| Comment(0) | 雑記帳

2011年03月06日

三寒四温の一週間

しばらくの間、春のような陽気が続いてたのに、水曜日夜の散歩は降りしきる雪の中。木曜日は散歩に出る前の気温が-3℃だったもので、久しぶりに耳当てが必要でした。かと思うと昨日の土曜日にはポカポカに戻って、今日は午後から雨。めまぐるしく天気が変わった一週間でした。

110303a.jpg
これは木曜日(3日)の朝の様子。うっすら雪化粧をしたという程度です。4日の朝は -4℃まで冷え込んだけど、やっぱり雪の量は1cmもありませんでした。

110305a.jpg
昨日の土曜日(5日)、お昼過ぎからQUILT CAFEさんに遊びに。着いてからカメラを忘れたことに気が付いてしまいました。
慣れない iPhoneでの撮影なので酷い写真ですが、左からおなじみの POOHちゃん、あいちゃん、ファルコです。今回はあいちゃんが引っ張りっこ遊びに誘ってくれて、ファルも何度も楽しんでました。楽しかったねぇ〜。わーい(嬉しい顔)

110305b.jpg
かわいいミニチュア・シュナウザーのゆず君とじんじゃあちゃんにも会えたんですが、うまく写ってるのがありませんでした。残念。もうやだ〜(悲しい顔)
ロシ君も来てくれたんですが、これじゃ"黒ラブ"としかわかりませんね。ふらふら

で、ここからは今朝(6日)の散歩の時の記録。

110306a.jpg
家を出てすぐにロイ君とプーリー君に出会いました。大型犬が大好きだというロイ君の歓喜の舞。いつも仲良くしてくれてありがとうね!

110306b.jpg
しばらく歩くと、久しぶりのモレーナちゃんがやってきました。
大喜びであいさつに行こうとするファルと、引き気味のモレーナちゃん。ふらふら

110306c.jpg
そこへやって来たのはサスケ君。
"僕、この馴れ馴れしい子、苦手やねん"と表情が訴えてますねぇ...もうやだ〜(悲しい顔)

110306d.jpg
みんなと別れて、定番コースの森の道へ。
ずいぶん暖かかったので、今朝は霜柱も見られませんでした。

110306e.jpg
大好きな人を見上げている犬の姿って絵になりますよねぇ!
横で見ている方も幸せを感じられるシーンです。
# もっとも、食べ物を待ってる時も真剣でイイ顔をしますケド。ふらふら

110306f.jpg
いつもの広場でしばしリトリーブ遊びを楽しみました。
木の枝を投げる時は、ファルは未だにフライングしちゃいます。この写真でも完全に浮き足立ってますものねぇ...

110306g.jpg
"四角"まで帰って来たところで、黒ラブのイブちゃんと遭遇。兵庫県の警察犬訓練所生まれでお母さんの名前はベラちゃんだそうなので、残念ながらリリィちゃんとは姉妹ではなさそうです。ひょっとしたらと期待してたんだけど、さすがに違ったみたいです。
上の写真はイブちゃんと一緒に暮らすドーベルマンのプチちゃん。うまく挨拶できたこともあるのですが、たいていは(ヤキモチもあってか)吠えられてしまいます。残念。

めぐる季節の中で、いつもどおりの楽しい週末の一日でした。
posted by Tosh at 22:55| Comment(2) | ワンズ日記

2011年03月10日

早く帰宅した日

夕べも早い時間にだけ雪が降って、今朝の庭はうっすら雪化粧でした。

110310a.jpg
今年はそこそこ雪遊びができたので、この程度の積もり方じゃファルコも特に嬉しそうではありません。人と同じで、だんだん贅沢になるものですね。ふらふら

110310b.jpg
カミさんと朝の散歩に出かけるところ。行ってらっしゃ〜い。

110310c.jpg
今日はちょっと事情があって、かなり早い時間に帰宅しました。
まだ充分明るいうちに、雪がチラチラと舞っている中をお散歩に出かけます。"アスレチックコース"での棒遊び、結構走り回ったね。

110310d.jpg
山道での1ショット。振り向いた直後で、なんかおもしろい表情ですね。

110310e.jpg
早過ぎる時間帯だったのか、お友達には出会えませんでした。やたら吠える小型犬とあまり愛想の無い飼い主さんには何組かすれ違ったのですが...
ちょっと残念。

110310f.jpg
家に帰って来てから庭の見回り。
楽しくないので記事にはしてなかったのですが、今年に入ってからも5回以上イノシシの侵入(襲撃)に遭っています。近いところでは宿根草の苗を植えた日の夜!もうやだ〜(悲しい顔)とか 一昨夜とか... 昨夜の散歩でもウチの庭の下の道で 100Kgくらいありそうな かなり大きなヤツと出くわしました。

...早く帰宅した訳については、また後日にでも。
posted by Tosh at 23:01| Comment(2) | ワンズ日記

2011年03月18日

世界中が祈ってる

震災で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。そして、行方不明の方が一人でも多く無事に発見されること、被災された方々にはきちんと物資が届けられて一日も早く平穏な日常を取り戻されることを心より願っています。

3/11、イギリスへ向かう飛行機の中、私はCAから大震災の最初の一報を聞かされました。ヒースロー空港に着くと、航空会社が概要を記したメモを用意してくれていて、M8.8という数字(後にM9.0にまで修正されたわけですが)を見てもすぐには信じられない思いでした。現地のTVクルーらしき人達にインタビューされて、ようやく本当に起こったことなんだと実感が湧いてきた次第です。

成田を飛び立った3時間後にこんなことが起こっていたなんて...
日本では日が変わった深夜だったのですが、ごく身近な人達の安否だけを確認して目的地のバーミンガムに向かいました。航空機のダイヤは混乱しているようでしたし、イギリスに行った主目的は Cruftsを見学することだったものですから。

110313a.jpg
Crufts 2011最終日、Best in Showの審査の前に、Friends for Lifeという人の生活を助けている犬のヒーローを投票で選ぶというプログラムの発表がおこなわれました。最終選考に残った5組の中には、ハイチ地震などで活躍した災害救助犬(ラブラドール)の Echoと Mike氏もいました(左のスポットライト)。
ビデオが流され、今回の地震のために別の犬達が日本に向かっている旨がアナウンスされると、会場は大きな拍手に包まれます。私はこんなところでノンビリしていて良いのか?という疑問や無力感もあって、思わず涙が溢れてしまいました。

Cruftsの会場でも、その後に少し滞在したコッツウォルズなどでも、私達が日本人だとわかると、必ず "大変なことになって心を痛めてる" とか "ご家族や友人は無事なの?" とか暖かい言葉をかけていただきました。TVでも新聞でもずっとトップニュースで、津波や原発の水素爆発のシーン、被災者の様子などを垣間みることはできました。

110316a.jpg
ロンドン市内でメジャーな無料ニュース紙の16日のトップページです。
原発事故に対する関心も高いようですが、この新聞では中身のページも人道支援の記事が目立ちます。

16年前、私は当時では珍しかったホームページを持っていたもので、阪神大震災に関して、いろんな国の方(もちろん知らない方々)から、"何かできることはないか?" とか "一日も早い復興を祈っている" とか、たくさんのメールを(長い期間に渡って)いただいたことを思い出します。
今回も世界中の多くの方々が日本のことを心配し、祈りを捧げてくださっていますね。

110317a.jpg
早めに帰国することも検討したのですが、チケットの関係等でうまく調整ができず、私たち夫婦は予定通りの16日までイギリスに滞在して、昨夜帰宅しました。
ファルコは10日の夕方からは PAWSさんに預けてあり、後半はハナ母さんが自宅に連れて帰って面倒を見てくださいました。本当にありがとうございました!


今回の未曾有の大惨事に関して自分に何ができるか、ずっと考えています。
が、すぐに完全な答えは見つかりそうにはありません。
少なくともこのブログに関しては、今までどおりのスタンスで犬の話題を書き続けたいと思っています。不謹慎だと気分を害される方もいらっしゃるかもしれませんが、これは答えらしきものの一部です。どうぞご容赦ください。
posted by Tosh at 23:52| Comment(8) | 雑記帳

2011年03月21日

モデル/ライバル法

今回の記事は(も?)、ちょっと無謀なネタかもしれません。
私は単なる犬好きの一人に過ぎず、偉そうなことは書いていても、自分の犬のトレーニングも充分にできてはいないですし、ましてや心理学や動物行動学などの分野を系統立てて学んだこともないド素人です。
それなのに、Temple Grandin氏の"動物感覚"やら、Irene Pepperberg氏の"アレックスと私"などに感化され、貧弱な語学力を顧みずに英語の文献等を頼りに犬の社会的学習理論の話に触れようというのですから...
専門家の方から見れば、噴飯ものの解釈も多くあるかもしれません。あまりにおかしな部分がありましたら、コメントなりメールなりでお知らせいただければ幸いです。

110102r.jpg

モデル/ライバル法は、もともとはドイツのDietmar Todt氏が、ヨウムに単語を教えるのに、オペラント条件づけに代わる方法として開発されたものだそうです。仕組みとしては、教えたい生徒(ヨウム)の他に人間が二人必要で、一人は教師役を、もう一人が生徒の手本(model)でもあり競争相手(rival)でもある役を演じます。ペパーバーグ氏はトット氏の方法を改良して、トレーニングの間に教師役と手本/競争相手役を入れ替えるという手順を加えました。

この方法は、Albert Bandura氏のモデリング(観察学習)理論の延長線上にあるもので、社会的学習理論の一つの方法と考えていいようです。それまでの行動主義心理学では、レスポンデント条件づけとオペラント条件づけでしか学習はおこなわれないとされてきたわけですが、バンデューラ氏はそれらは試行錯誤の学習に過ぎないととらえ、社会的行動には観察による代理学習(強化)が有効だと考えたようです。

100801l.jpg

"動物感覚"の福音を書いた後、ヨウムのアレックスの話が気になって、犬に関する"手本/競争相手方式"のことを調べ始めました。"model/rival method"の訳であることはすぐにわかりましたので、そのキーワードで犬を対象とした研究がないかと検索をしてみたのです。

すぐに見つかったのは、2003年に Applied Animal Behaviour Science誌に発表された Sue McKinley, Robert J. Youngによる The efficacy of the model-rival method when compared with operant conditioning for training domestic dogs to perform a retrieval-selection taskという論文でした。
内容はタイトルのとおりなのですが、ペパーバーグ氏の Alexに関する研究に触発されて、一般的になっているオペラント条件づけと比較してみようというもので、犬を対象にモデル/ライバル法を試してみた最初の研究だと思われます。赤色のおもちゃ"SOCKS"と黄色いおもちゃ"CROSS"を持って来る動作を二つのトレーニング方法によって教えて、どちらが効果的か調べられました。
結論は、(統計的に処理した結果)モデル/ライバル法は、オペラント条件づけ法と同程度の訓練効果をもたらすというものです。
さらにいうと、モデル/ライバル法では(オペラント条件づけのフードではなく)持って来させる物自体を報酬とするので、その物の名前を理解しているようだとの考察がなされているところが興味深いと思います。

110211o.jpg

犬に対してモデル/ライバル法を適用した他の論文がないかと探したところ、Nina Rachel Cracknellらによる Can stimulus enhancement explain the apparent success of model-rival technique in the domestic dog (Canis familiaris)? という、同じくApplied Animal Behaviour Science誌に 2008年に発表されたものが見つかりました。ただ、こちらは全文を手に入れようとすると結構な金額を払わなければいけないので Abstractしか読んでいません。ふらふら
結論としては、McKinley & Youngのおこなった実験に関しては、モデル/ライバル法の基盤となる複雑な認知プロセスを持ち出すまでもなく、刺激強調(stimulus enhancement)の結果として学習させる方が効率が良いということのようです。刺激強調という概念は、真の(認知的)模倣ではなく疑似模倣(pseudo imitation)の一形態とされるようですが、これがすなわち、モデル/ライバル法を否定するという性格のものかどうかは、現時点では私にはわかっていません。

私がネットを使って検索した限りでは、犬を対象にしたモデル/ライバル法のオリジナルな研究は上記の二つくらいしか見つかりませんでした。これらを引用して考察している文献や、モデル/ライバル法に特化せず、犬の模倣学習や社会的学習について考察しているものも複数見つけてあるのですが、その分野の専門知識が乏しいため、まだほとんど読めていない and/or 理解できていないというのが実状です。
これについては、もう少し私の理解が進めば、また記事にできればと考えています。

と、この辺りまでは、昨年秋の時点で調べていた内容でした。
アレックスと私の記事を書いた後で、とりあえず一旦はモデル/ライバル法について記事にしておこうと考えて、念のためにもう一度ネットを調べていると、新しい情報に巡り会いました。

ForTheLoveOfADog.jpg

それは、Patricia McConnell氏のこのブログ記事です。氏のことは、Temple Grandin氏の Making Animals Happyを読んだ際に多数引用されていたことで知りました(写真の"For the Love of a Dog"は購入したものの、完全に積ん読になっちゃってますがもうやだ〜(悲しい顔))。動物の行動学者でもあり、アメリカでは(極力 正の強化のみを使うpositive trainerとして)著名な犬のトレーナーです。ブログのタイトルになっている The Other End of the Leashという書籍を含め、多数の著作もあるようですが、一冊も邦訳されていないのが残念です。

彼女は昨年、愛犬のWillieに(クリッカーとトリーツを使った)普通のオペラント条件づけで物の名前を教えようとされたのですが、芳しくない結果に終わったそうです。今年になって(日本でも紹介された)1000以上の単語を理解するChaserのニュース(ここここ等を参照: この研究も興味深いですね)に刺激されて、もう一度 Willieに物の名前を教えてみようとされます。その中でモデル/ライバル法を使ってみることを思いつき、一定の成果を上げられたようです。シンプルな内容ですが、同法でのトレーニングをビデオでまで紹介してくださっているのは興味深いですね。

110201f.jpg

先日私は 犬の愛に嘘はないで、ジーン・ドナルドソン氏が ザ・カルチャークラッシュの中で "オペラント条件付けと古典的条件付けでしか学習することができない"と書いておられることに対する抵抗感を表明しました。が、考えてみると、かの本が出版されたのは1996年ですから、犬(を含む動物一般?)の社会的学習についての一般常識としてはそういったスタンスになるのも仕方なかったのかもしれません。同じ年に出版された Pamela Reid氏の Excel-Erated Learningの中でも、"犬には模倣学習はできない"といった結論が書かれているそうですね(残念ながら原本を読んだわけではありませんし、今更入手する気もないのですが)。

いろんな論文を拾い読みした感触では、この10年あまりで、犬の社会的学習については、同種内(犬どおし)のみならず、異種である人間の行動をも観察して学習しえる(モデル/ライバル法はこの一形態ですね)という考え方が一般的になりつつあるように思います。
もちろん、これはオペラント条件づけによる行動随伴性学習を否定するものではなく、"犬がどのように認知するのか"という部分にこそ強い影響を及ぼすものだと考えます。

私自身は従来からあるトレーニング方法もまともに身に付いておらず、ファルコを混乱させてばかりいる状態ですから、すぐに社会的学習に挑戦しようなどという大それたことは考えていません。しかし、複数飼いができるようになった暁には、どんなふうに"模倣"がおこなわれるのかに注目してみたいなと思っているところです。
posted by Tosh at 21:49| Comment(2) | 雑記帳

2011年03月27日

Crufts-展示会場編

大震災が日本を襲ったその日、私たち夫婦は海を渡ってイギリスに向かっていました。
Crufts(クラフツ・ドッグショー)の開催に合わせて、ペット先進国といわれる彼の国の犬と人との付き合い方を垣間みて来れたらいいなというのが今回の旅のテーマです。

基礎知識も語学力も不足しているので、消化不良な紹介の仕方になってしまうと思いますが、数回に渡ってイギリスで撮ってきた写真などをお披露目しますね。まずは Crufts 2011の展示会場の様子を記録しておきます。

1103e1a.jpg
Cruftsは世界最大のドッグショーと言われます。Charles Cruft氏が1871年に始めた時は 2000頭を集めた品評会だったそうですが、120年目を迎える今や品評会へのエントリが 22000頭、参加合計数は 28000頭に及ぶ規模で、現在の運営は The Kennel Clubがおこなっています。
会場は Birmingham郊外の The NEC (National Exhibition Centre)、日本なら幕張メッセとかインテックス大阪のような展示会場と、隣接する LG Arenaという(普段はコンサートなどで使われる武道館や大阪城ホールのような)多目的ホールです。

Arenaに設置された Main Ringは、ドッグスポーツや主立ったプログラムのために用意され、通常のジャッジや物販などの各種ブースは The NECの 5つのホール(展示会場)内でおこなわれています。で、この会場が広い!
日本最大の面積を持つ東京ビッグサイトの全てのホールを合わせたよりも広い空間を Cruftsショーで使っているのです。Arenaを合わせると、ちょうど東京ドーム2個分くらいのエリアになります。

実は私は、品評会の部分にはほとんど興味がなく、日本のドッグショー(ペットショーを含む)も一度も見たことがありません。なので、それらとの比較はできないのですが、着いてみて最初に戸惑ったのが、"広過ぎて、どこで何をやっているかわからない!"ことでした(公式パンフレットには当然エリアマップも載っているのですが...)。

Crufts 2011は 3/10(木)から13(日)の 4日間おこなわれたのですが、私たちが見学するのは後半の二日間。一日目の土曜日は、全体を見て歩いて雰囲気を楽しむのと"お買い物"に充てることにしました。

1103e1b.jpg
この写真は犬種ごとの品評会(ジャッジ)がおこなわれる Ringと呼ばれる場所。緑色のカーペットが敷かれた正方形の空間ですが、これが会場内に36カ所!設けられています。
その他にもオビディエンス競技会専用の Obedience Ringや、GDCS(Good Citizen Dog Scheme) Ringなど複数の Ringがあり、それぞれの会場で一日中いろんなプレゼンテーション等がおこなわれているのです。

1103e1c.jpg
一つ前の写真でも奥の方に写っていますが、これは Dog Benchesと呼ばれる控えの間?。レースで言えばパドックのようなもので、プログラムに参加する犬達が待機しています。各種Ringと Dog Benchesで約半分の面積を占めていました。
ジャッジに関しては、土曜日がハウンド系とテリア系、日曜日がトイ系とユーティリティ系に割り当てられていました(一番興味を持っているガンドッグ系は木曜日に終わっています)。なので、あるエリアではサルーキがワラワラ、となりにはアフガンがてんこ盛りといった一種異様な雰囲気が楽しめます。

1103e1d.jpg
実はこの写真は会場に入ってすぐに目にした光景。アイリッシュ・ウルフハウンドを実際に見るのは初めてでした。デカイですねぇ!
品評会に出場する同犬種もたくさん集まっていましたが、この犬は介助犬のデモンストレーションのようです。

1103e1e.jpg
真ん中のホールに設けられた Discover Dogsというエリアです。200数十のブースが並び、200種以上の純血種の犬達を見ることができます。リトリーバー類だけみても、チェサピークベイのように本でしか見たことがなかった種類や、ノヴァ・スコシアといったその存在自体を知らなかったものなど様々な犬を目にすることができました。

1103e1f.jpg
秋田犬(Japanese Akita Inu)と柴犬の二つのブース。なんか妙にオリエンタルなディスプレイに違和感を覚えますが、結構人気がありました。他にも Akitaというブースもあってそちらは普通の展示だったんですが、どちらかが US秋田というわけではなかったように思います。Discover Dogsはブリーダーや愛好クラブが出展しているようで、多少の重複はあるようにも感じました。
# Salukiの隣に Sloughiが並んでいるのは、同じ犬種の別の国の呼び方かと思っていたのは恥ずかしい秘密ですケド。

1103e1g.jpg
中央のホールには、The Kennel Club自身の出展エリアが集まっていました。この写真は Dog Activities Ringでおこなわれていた Gundogsのデモンストレーション。ダミーを使ったリトリーブの基本を教えてくださっていました。この写真はリトリーバー系の犬達によるプレゼンですが、スパニエルを使ったデモも面白かったですよ。

1103e1h.jpg
同じ場所では、服従訓練や Heelwork to Musicなどいろんなアクティビティの基礎講座?がおこなわれていたのですが、これはアジリティの一コマ。いろんな犬種(アジのエキスパートではない犬達)が登場して、いろいろな障害の通し方などをレクチャーしてくださっていました。
このコーナーには"Why not try Flyball!"といったそれぞれのアクティビティのパンフレットが置かれ、犬と飼い主双方に合った楽しみ方をアドバイスもされていました。
コーナー全体のテーマは"Unleash your dog's potential"。こういう形でいろいろ紹介してくださっていると、毎日ただ散歩してるだけじゃなく何か始めたくなっちゃいますよね!

1103e1i.jpg
展示会場の半分弱の面積を占めるのがいろんなお店や団体のブース(Trade Stand)です。物販店がほとんどですが、セラピー犬の普及啓蒙をおこなう団体や、Blue Crossや Batterseaといった動物保護団体も出展していました。
# やはり Dogs Trustは戻ってきてはいませんでしたが。

1103e1j.jpg
日本では見かけないような犬グッズやアクセサリーなどを探して歩くことも楽しみにしていました。
全部で500くらいのお店が並んでいるわけですから、それはいろんな物が揃っていましたよ。ハンティングウェア専門店みたいなのからペット用のサプリメント屋さんまで。トリミング用品だけ扱っているところもあれば、多種なお土産小物が並んでいたり。何せ広いので歩き回るのには疲れますが、じっくり見て歩いたらそれだけで二日間くらいは潰れてしまいそうです。
そんな中で、何軒かあった車載クレート専門店の写真を一枚だけ。犬と一緒に出かけることが当たり前の文化だからでしょうか、(ワンオフ制作も含めて)荷室を完全な犬小屋化することが珍しくないのかなと妙に感心してしまいました。

1103e1k.jpg
会場の外の様子も一枚。金曜と土曜に宿泊した Hilton Metropoleから The NECに繋がる小道です。日曜の夕方、Best in Showに向かう時のものなので、写っているダルメシアンは品評会を終えた戻ってきたところでしょう。この期間、このホテルは Crufs関係者で一杯になるようで、ロビーやエレベータの中でもいろんなワンズに会えました。インフレ価格になっちゃうのですが、近くて便利ですから Crufs見学を予定しておられる方はぜひ早めに予約をされると良いと思います。

というわけで、断片的ではありますが、Crufs 2011の展示会場の様子をお伝えさせていただきました。

ファルコの写真も少しだけ。

110319a.jpg
先週土曜日(帰国した翌々日)のお散歩時の写真です。
留守番期間の後半をハナ母さんが預かってくださったこともあって、ファルはすこぶる元気です。もともと依存心が強くないからなのか、金曜の夜に一週間ぶりに会った時も、異様に興奮することもなくごく自然に"お帰り!"って感じでした。それだけハナ母さんちの居心地が良かったんだよね!
本当にありがとうございました。

110327a.jpg
今日の散歩からも一枚。ガウディ君、アルちゃん、ソル君ちに最近やってきたダイスケ君。あるショップで売れ残っているのが気になって連れて来られたという4ヶ月のパピーです。足なんかムクムクでメッチャかわいかったです!
あ、ファルコが着けてるのは、Cruftsでお土産に買ってきた DOXLOCKというハーネスです。ロゴのところがマジックテープになっていて小さなバッグなどを装着できるんですよ。
posted by Tosh at 15:12| Comment(6) | イギリス

2011年03月29日

Crufts-アリーナ編

Crufts 2011見学記の2回目。Arenaに設置された Main Ringでおこなわれたプログラムの一部を、写真中心で紹介したいと思います。

1103e2a.jpg
まずは Flyball から。このフライボール競技、実は私はJKCの紹介ビデオでしか見たことがありませんでした。
Main Ringで観戦できたのはチーム競技。4つのハードルを越えてボックスまで行き、ボールを銜えてまた帰って来るというのを4頭の犬でリレーする。それを横に並んだ2つのレーンを使って2チームでタイムを競うというものです。
シンプルだし勝敗がわかりやすいのでとってもエキサイティングでした!

1103e2b.jpg
JKCの紹介ページではクラフトタイプのボックスとして足で踏んでボールを出す装置が紹介されているのですが、今回使われていたのは上の写真のような壁みたいなもの。チームによって形状が少し異なっていましたので、一定のレギュレーションに基づいて各チームで用意しておられるように思いました。
# 勘違いしていたらすみません。

1103e2c.jpg
先行犬が戻って来てポールを越えた瞬間に次の犬が通過するよう、タイミングを合わせるのが難しそうですね。ギリギリの距離で猛スピードですれ違うのでスリリングです。出番を待つ犬達が興奮でワンワン吠えまくっているのが見ている人間の気持ちも昂らせていました。
どんくさいファルコには絶対にできない競技ですが面白かったです。

1103e2d.jpg
次、Agility にいってみましょう。
実はこの競技も生で見るのは初めてでした。奥が深そうだし、見ていてもとても楽しいものですね!
いくつかのクラスを観戦したので、ボーダーばかりじゃなくいろんな犬がトライしているのも楽しめました。スタンダードなカットを施したベドリントン・テリアなんかも出場していましたよ。

1103e2e.jpg
犬の性格や運動能力によってもハンドリングの仕方は自ずと異なってくるのでしょうが、同犬種であってもハンドラによってコントロールの方法が全然違っているのが面白かったです。結構太った方で人間の足が遅くても良い成績を出されたり、犬がコースがわからなくなって困っているのが伝わって来たり...
犬の能力以上にやはりハンドラの資質、能力が重要なんだなぁと実感しました。

1103e2f.jpg
冷静な視線で犬を見ておられるのはジャッジの方。-5点じゃなく何か半端な減点が付くのは理由が良くわかりませんでした。
アジリティもファルコにさせるのは向いてなさそう(身体に負担をかけそう)ですが、一度くらい(速度を求めずに)挑戦してみたいなと思っています。
# すぐ感化されるヤツ!ふらふら

1103e2g.jpg
Heelwork to Music のフリースタイル競技。
International部門で2位になられた、Linda De Smet氏と Ebyの演技です。エキゾチックな演出がたっぷりで楽しめました。土曜日のお披露目演技では最後に籠のフタを閉め損ねてやり直したのはご愛嬌。

1103e2h.jpg
International部門の優勝者です。今回のCruftsでは Richard Curtis氏と Pogoの演技は非常に高い評価を受けたようですね。大工さん?のコミカルな演出が面白かったですよ!

1103e2i.jpg
最終日、Best in Showの前に披露された Mary Ray御大による模範演技?。
やっぱり二頭を見事にコントロールされているのには圧倒されました!

もちろん会場ではもっとたくさんの写真を撮って来たのですが、ドッグスポーツの紹介用に選んだものは、ほとんどボーダー・コリーばっかりになっちゃってますねぇ... 恐るべし、ボーダーのアスリート力!

余談ですが、この日曜日に初めて会ったちょっと肥満気味のボーダー連れのご家族とお話ししていて、"スポーツ万能のすごい犬種ですよね!"と言ったら、"えっ、本当ですか?"と真剣に驚かれてました。どんなつもりで一緒に暮らすことにされたんでしょうねぇ...もうやだ〜(悲しい顔)

1103e2j.jpg
他の犬種の活躍も記録しておかねば! ということで、Southern Golden Retriever Societyによる団体演技(カドリールって呼んで良いのかな?)です。
たしか 16ペアのハンドラとGRが一糸乱れぬ(とまでは言えないシーンもあったけどわーい(嬉しい顔))陣形の変化を見せてくれるのは新鮮で見事でしたよ。
年配のハンドラの方が多かったのも、歳をとってからも犬とアクティビティを楽しめるということを実証してくださっていて好感が持てました。

1103e2k.jpg
RAF Displayというプログラムの一シーン。Royal Air Force (RAF) Police Dogs、つまり軍用犬/警察犬によるデモンストレーションです。この場面は、左上に小さく写っている犬(犬種はよくわかりませんでした)が、複数の容疑者?の荷物の中から爆発物を探し出すといった内容だったと思います。

1103e2l.jpg
Canine Partnersによる介助犬のデモンストレーション。ベッドから人を起き上がらせたり、靴下や手袋を脱がせたり、洗濯物を洗濯機から取り出したり... さまざまな介助の仕事をこなす実演をしておられました。この写真はラブラドゥードゥル(?)が松葉杖を持ってくるシーンですね。

1103e2m.jpg
世界中が祈ってるでも少しだけ紹介した Friends for Lifeの最終発表のプログラム。電話投票の結果、"四つ足のヒーロー達"の一位に輝いたのは、左に写っている Joanne Daly氏とゴールデンドゥードゥルの Kaiserでした。ちなみに、この犬は上述の Canine Partnersの犬だそうです。でも、5組のどのペアも素敵な話(ビデオ)を見せてくださいました。大拍手の渦でしたよ。

1103e2n.jpg
Friends for Lifeの表彰の後、いよいよ最後のプログラム Best in Showの審査が始まりました。Cruftsでは、犬種ごとに Best of Breedが一頭勝ち残り、一日の終わりに犬種グループの勝者(Best in Group)を一頭だけ選び、最後の最後に7つのグループの勝者を集めてその年のNo.1(=Best in Show)を選考するのです。
そして、今年選ばれたのは Flat Coated Retrieverの Jetでした!

というわけで、初めての Crufts見学の記録はこれでおしまいです。ホテルに帰ると日本のことが気になって仕方なかったのですが、会場にいる間は、なんだかんだ言ってても結構楽しんで来させてもらいました。
地震の影響で、今年のFCIジャパンインターナショナルドッグショーは中止になってしまったようですが、一度日本のドッグショーも見学に行ってみたいと思っています。

ファルコの写真も少し。

110320a.jpg
先週の日曜日、三人でお得コースを歩いた時の写真です。

110327b.jpg
ついでにもう一枚、今週の日曜日のものも。
新しく手に入れたレンズ(中望遠の単焦点でマニュアルフォーカスなので、はっきり言ってお散歩時には使い辛い代物)で撮影してみました。
posted by Tosh at 23:36| Comment(0) | イギリス

2011年03月31日

Cotswolds駆け歩き

イギリス旅行の3回目。コッツウォルズ編です。
今回は犬はあまり出てきませんがご勘弁を。

1103e3a.jpg
Crufts最終日の Best in Showを観終わった後、レンタカーで Warwickに移動しました。次の朝に散歩がてらにウォリック城を見に行きたかったからです。
愛車の Austin Healey (の前身の Donald Healey Motor Company)はこの街で生まれ、そのマークにはこの城の意匠が用いられていたのです。現在はマダム・タッソー・グループが所有する遊園地みたいなものになっているらしいので外から眺めただけなんですけどね。

1103e3b.jpg
宿泊したのは市の中心部にある小さなホテル Rose and Crown。(Crufts価格の)Hiltonの 1/3くらいの値段でしたが、部屋の広さや居心地の良さはこちらの方が上でした。夜に移動してきて正解!

1103e3c.jpg
Warwickの目抜き通り?の中に The Blue Crossの看板を発見しました。何やらブティックのようにも見えるので看板をチェックしてみると、大人の服や鞄など寄付してもらったものを販売しておられる場所のようです。

1103e3d.jpg
3年ほど前、初めてイギリスに行った時の目的は Goodwood Festival of Speedというクルマのイベントを見学すること(と、コッツウォルズを楽しむこと)でした。今回の旅では車関係は控えめにして、この Heritage Motor Centreに立ち寄るだけにしました。すごく面白かったのですが、ブログの主旨からズレまくるので、割愛しますね。

ここから先は特に行き先を決めてはいませんでした。前回は Public Footpathをのんびり散歩したり、ガーデンを巡ったりと、この地方の自然を楽しんだのですが、今回は街と人と犬を見て回るのが目的です。気になっている街の名前をレンタカーのナビに打ち込んで気ままに移動します。

1103e3e.jpg
通りかかったので立ち寄ってみることにした Stratford-upon-Avon。ナローボートが多数浮かぶ Avon川の畔、Bancroft Gardensには犬連れの方が何人もいらっしゃいました。いつか、カナルボートにファルを載せてのんびり川旅をしてみたいものです。
ポカポカとした散歩日和で、川縁にはサクラの花も咲いていました。北海道よりずっと北(樺太の中央辺りの緯度)なのに日本より春が早いってのは不思議な感じですね。

1103e3f.jpg
イギリスの中でも茅葺き屋根の家が多く残るという Chipping Campdenに到着。蜂蜜色のライムストーンのかわいい家が並ぶ中に、数軒の Thatched Roofがありました。職人さんが少なくなっているそうなので、傷むのを極力抑えるためか金網で覆われているものも。もっとたくさん並んでいるかと思っていたので、ちょっと期待はずれでした。

1103e3g.jpg
かわいらしい犬のマークのギフトショップがあったので紹介しておきましょう。置いてあるものも、私達の趣味に合うものが多かったです。チェーン店のようで、別の街でもみかけましたよ。

1103e3h.jpg
夕方になり、宿泊施設に向かう途中で見かけた光景。今回もホーストレッキングしている方には時々出会いました。正装がバッチリ決まってます。カッコいいなぁ!
万が一コッツウォルズに移住できたとしても、馬は飼えないかもなぁ...

1103e3i.jpg
この日のお宿は Charingworth Manorというマナーハウス。前回の旅では、日本人にも人気の高い Lords of the Manorにも泊まったのですが、部屋に関しては今回の方が良かったです。サービスは今ひとつでしたけど。

1103e3j.jpg
コッツウォルズ巡りの二日目、Stow-on-the-Woldに立ち寄りました。とある店先に RSPCAの募金箱(犬の形をしてるの)を発見。
この街も骨董店やギャラリーが多かったです。Cotswold Galleriesという店で面白い絵を見つけて小さいの一点だけ買ってきたのですが、そこのオーナーさんはラブラドールを9頭も飼っておられる方でした。

1103e3k.jpg
Bourton-on-the-Waterです。中心部を Windrush川が流れ、そこにかかる石の橋が何とも言えない良い雰囲気を醸し出しています。たしかに"観光地"っぽくもあるのですが、今回一番のお気に入りになった街です。

1103e3l.jpg
川の周りの公園を犬連れで散歩している人も多かったです。
# MOTOR MUSEUMはギフトショップを覗くだけにしました。

1103e3m.jpg
この街で印象的だったのは、川縁のベンチでのんびり川を眺めてくつろいでおられる老夫婦が多かったこと。杖をついておられたり、片方が電動カートに乗ってきておられたり... イイ感じでしたよ。
上の写真は、対岸を2台のクラシックカーが通りかかったところです。判別できるかなぁ?

1103e3n.jpg
最後に訪れたのは、イギリスに詳しい知人から最も好きな街と聞かされていた Burford。時間に余裕がなかったので少し通りを歩いただけですが、ここも素敵な街でした。丘陵地に街が広がっているので、遠くの丘が見えたり、坂に並ぶ建物が美しかったり。それほど観光地色は強くなく、生活感のある街でした。
ただ一つだけ、街の中に川が流れていないのは少し残念かなぁ。上の Bourton-on-the-Waterや、前の旅で好きになった Lower Slaughter、Bibury、Castle Combeなどは、みんな小川がアクセントになってましたから。

今回のコッツウォルズは、本当に駆け足で気になっていた街を巡っただけ。ちょっと欲求不満も残っちゃったのですが、ゆっくり歩くのはまた次の機会の楽しみにしておこうと思います。
どの街でも犬を連れた方々を見かけることができました。でも、意外に小型犬が多く、ラブラドールよりも大きな犬は一度も見ませんでした。また、街の中では、(当然かもしれませんが)オフリードで散歩している方はいらっしゃいませんでした。リード付きとは言え、みんなお利口にゆったりと飼い主さんの横を歩いてましたよ。

Burfordを後にして向かったのは、初めて訪れる London。その記録は次回にしますね。


さて、黄色いスイセンがあちこちで咲き誇り、サクラまで花開いていた春のイギリスから戻ってみると、ファルコ地方はまだ冬でした。帰ってきた日も雪でしたし...

110320b.jpg
庭のサクラの蕾はまだ固く、赤い花をつけているのは梅だけです。

110327c.jpg
玄関前のミツマタは花盛りになりました。もうすぐ春ですね。
posted by Tosh at 23:34| Comment(3) | イギリス