初めてJazzのレコードを手に入れたのは高校生の頃。Miles Davisの "Birth of the Cool"。思えば、いきなりコアなアルバムから入ったものです。
軽音で下手なRock(メインは The Beatles...)をやりながらも、当時はあちこちにあったジャズ喫茶に出入りするようになりました。一番よく通ったのは、阿倍野にあった"トップシンバル"。ここは大阪で最後まで残ったジャズ喫茶だったそうですが、4年前に閉店されたようです。
青春の思い出の場所がまた一つ... なんか寂しいなぁ。
初めて好きになったジャズシンガーは中本マリさんでした。大学に入ってすぐの頃だから、もう35年も前のことですね。
それ以降はあまりヴォーカルには興味を持たないできたのですが、40歳になった頃に出会った綾戸智絵さん(今は智恵さんだそうですが)には、いっとき異常なくらいハマっていました。
"通"が評価するかどうか、巧いかどうかは私にとっては二の次。自分の心が動かされるかどうかが基準なので、あの頃の私にとっては、彼女は確かに最高のアーティスト(エンターテイナー)の一人でした。
妙にブレイクしてしまって、大バコでしか観れなくなってしまった頃から、急速に熱は醒めてしまいましたけど...
次に大のお気に入りになったのは越智順子さん。存在を知った時には既に東京に拠点を移し始めておられたので、結局二回しかライブで聞くことはできませんでした。
これからどんなシンガーに育たれるだろうと楽しみにしていたのに...
夭逝されたニュースには非常にショックを受けたものです。
後になって出された "LIVE at SOMETIME"の "The Way We Were"を聞く度に、今でも残念な気持ちがこみ上げてきます。
オチジュンの後はお気に入りのジャズシンガーが空席のまま。
もちろん洋盤も聞きます。比較的新しい方だと Diana Krall、Norah Jones、Sophie Milman ... でも、惚れ込むような感じにはなれないんですよね。
日本のジャズヴォーカルでは、いまだに一番よく聞くのは越智順子さんで、次はケイコ・リーさんという状態が続いています。
一年近く前に発売されたケイコ・リーさんのベスト盤、"Voices III"を初めて聞いた時に、"アラっ これって何ていうスタンダード曲だっけ?"と困惑し、しばらくして J-POPのアレンジであることに気付いて "ヤラレタ!"と感じ入った曲があります。
荒井由実さんの(ハイ・ファイ・セットに提供された)"朝陽の中で微笑んで"。その英語バージョンの "In The Morning Light"です。
後になって知ったのですが、A.S.A.P.というユニットのために 90年代に英語詞が作られていたのですね。
私と同世代の多くの人が覚えていると思いますが、"朝陽の中で微笑んで"は、当時のユーミンらしい哀しみの情感をたたえた曲。愛が移ろうことを知っていて、今の幸せが終わる不安を紛らわせるために"微笑んで"と求める歌詞だと思います。
英語版の "In The Morning Light"は似たような情景を描いていますが、ずっとシンプル。"めぐり逢えた喜び"を "うたかた"と断じることなく、ストレートに恋人との愛情に浸っている感じでしょうか。
調べてみたら、A.S.A.P.や後にカヴァーされた Patti Austinの歌い方は、英語詞に忠実な感じがするのですが、Keiko Leeバージョンは少し雰囲気が異なります。しっとりとした歌い上げ方で、(裏側にある)原曲のイメージを踏襲したブルージーなジャズに仕立てられています。彼女は松任谷由実さんと懇意だそうなので、そういった背景もあっての演り方だったのかもしれませんね。
私のお気に入りの一曲です。
朝陽の中を行くお散歩の様子を、この "朝陽の中で微笑んで"/"In The Morning Light"と絡めて記事にしようと思ったわけですが、実を言うと記事のタイトルをどちらにすべきか 少しだけ悩みました。
が、今の私にはポジティブな英語版しか選べませんでした。
In this corner of the universe
Who would ever guess
I'd find someone like you
All at once dreams came true
Since there's you in my life
Sharing precious moments here
Only you and I
Together we can watch our love shine
Here in the morning light
(荒井由実 / Penny, Michael Himelstein "In The Morning Light"より引用)