2013年03月01日

ドッグランの謎

オフリードの法的解釈の続きです。
このブログを読んでくださっている方の多くは、もう辟易されているかもしれませんね。こんな声が聞こえてきそうです。

なぜこの人はムキになってノーリードのことを書き続けてるんだろう?
行政機関の現場が"ノーリード禁止"って看板を立ててるんだし、犬の飼い主でさえノーリードは迷惑行為だと判断している人が多い。法律の専門家がノーリードは違法だと書いているのも見たことがある。
法律の条文がどうなっていようが、既にノーリード禁止は我が国におけるルールだろう。こんなことを続けて何の得になるんだ?

たしかに私は風車に立ち向かっている愚か者かもしれませんが...
"And maddest of all, to see life as it is and not as it should be!"
 -
Miguel De Cervantes

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ウチの近所では"犬連れ禁止"の公園は見かけたことがありません。が、"犬の放し飼い禁止"の看板があちこちに立てられた公園はあります。
こういった看板を目にする度に、私は陰鬱な気分になると同時に、日本中で見られる別のイメージが浮かんできます。それは、人がよく訪れる公園等の水辺がフェンスで囲まれている風景です。景観を悪くしているのはもちろんですが、ここまで"管理"されなきゃいけないのかと、なんか自分(達)が卑小化されたような気がするのです。

もちろん、池に柵が張り巡らされることによって救われる命はあると思います。小さな子供を持つ親御さんにとっては、行政に安全策を求めたくなる気持ちはわからないではありません。が、そのような目に見える外からの管理策をどれだけ積み重ねれば、事故が撲滅できるというのでしょう?
世界中で最も治安の良い国の一つに挙げられる日本。しかしその一方で危機管理能力の低さが指摘されることも多いと感じます。
西欧流の"自己責任"を重視しなければいけないと安易に主張するつもりはありませんが、上記のような"安全"を行政に求める姿勢は、集団主義の陥穽に堕ちかねない怖さも感じてしまうのです。

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ある獣医さんが、自身のブログで"ノーリードは明らかに法律違反"だと主張し、先の記事でも紹介している"法律"第七条1項 (最後の文が "人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない"という項)を引用して、ご丁寧にも次のように解説しておられます。
犬の放し飼いを迷惑と考える人が存在する時点で犬の飼い主さんはこの法律に違反していることとなります。

敢えて反論する必要すら感じませんが、この獣医さんは"犬の存在そのものが迷惑だ"と言う方に、どう応えられるつもりでしょうかね?

仮にも動物のプロである方がこんないい加減なことを書くべきではないと思いますが、個人攻撃をしたいわけではありませんので、敢えてリンクは貼りません。そんなことをしたら、ノーリード反対派の中のヒステリックな方々と同じ土俵に堕ちてしまいますから。

が、考えてみると、"誰か(一人でも)が迷惑を受けたと主張された時点で罪"という感覚は、多くの日本人がなんとなく持っているものなのかもしれないとも感じます。
聖徳太子の"以和為貴"は、今も脈々と私たちの中に受け継がれているのかもしれませんね。十七条憲法の十に曰わく 彼人雖瞋。還恐我失。我獨雖得。従衆同擧。自分の考えよりも周りに合わせて行動しろという、私が非常に抵抗を覚える教えです。

行政の現場が苦情を怖れて臭いものに蓋をするような対応をすることも、国民の中に"赤信号、皆で渡れば恐くない"といった行動パターンが見られるのも、根っ子は同じ"事なかれ主義"だと思います。
最近の流行言葉?の"ならぬことはならぬものです"。なんかカッコ良さそうに取り上げられることが多いようですが、なぜ"ならぬ"のかをきちんと自分で考えないかぎり、単に思考停止を起こさせて(権力にとって扱いやすい人間を育てて)いるだけに思えて仕方ありません。やっぱり私はかなり天の邪鬼なんでしょうかね?

言い訳のように聞こえるかもしれませんが、私はこういった日本人の性向を全面的に否定するものではありません。ある意味では誇るべき精神文化だとさえ思っています。
が、それは思いやりや譲り合いといった形で、暖かい社会を作る基盤(マナー等)に活かされるべきであって、法令等といったルールの解釈を恣意的におこなったり、なんでも行政に責任を押し付けるような風潮とは一線を画するべき事柄だと考えます。

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東京周辺では、"ノーリードを繰り返す悪質な飼い主のせいで、公園が次々と犬連れ禁止になった"といった話もネット上では見かけます。そういった"犬連れ禁止"を増やさないために、"常識的な飼い主"の方々が、"オフリード"を取り締まるといった風潮も見受けられますね。

この流れに違和感を覚えて少し調べてみたのですが、明確な法的根拠(条例や規則の規定)をもって"犬連れ禁止"に指定された公園というのはかなり少ないのではないかと思われます。いわゆる公園条例等の条文を拡大解釈して、"犬連れ禁止"の看板が立てられているパターンの方が多いようなのです。
もちろん、中には東京都板橋区の区立公園のように、条例(東京都板橋区立公園条例)でしっかりと禁止されているものもあります。ちなみにその条文は以下のものです。

第5条の2 公園内では、次の各号に掲げる行為をしてはならない。ただし、法第5条第2項、法第6条第1項若しくは第3項若しくは前条第1項若しくは第3項の許可又は次項の規定による解除に係るものについては、この限りでない。
(4) 動物を連れ込み、又は危険な物を持ち込むこと。


動物(犬)は"危険な物"と同列に扱われていますね...
明確な法的根拠をもたない"犬連れ禁止"の看板や、"危険な物"扱いする条例に対しては、改善を求めていく(犬と共生できる社会作りを目指す)のが、本来の飼い主の在り方だと私は考えています。
"お上の言いなり"にはなって、ノーリードをする人を悪者として叩いて憂さを晴らすというのは、何かちょっと違うような気がしてなりません。

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何かの拍子に検索結果の上位に表示されて開いてしまうことのある、各種の掲示板におけるノーリード批判の記事。一時期拾い読みをしたこともありますが、あまりにレベルの低い主張や誹謗中傷に、私は気分が悪くなってしまいました。
そういう場やノーリード撲滅を訴えるブログ等で、"常識的な飼い主"が"ノーリードは違法"である根拠として示しておられるものの中には、いくつか共通するサイトが出てきます。それは、法律の専門家、あるいはそのふりをしている方によって書かれた"法解釈"のページです。

例えば、ある弁護士さんが法律事務所サイトのコラム内で、兵庫県の"条例"第12条を引用して、こんなことを書いておられます。

当地(兵庫県)では,生後90日を越えた犬を連れて屋外を散歩する場合は,かならず鎖等でつないでおかなければならず(「当該飼い犬が人の生命等に害を加えるおそれがないとき」という但書きに該当する場面・状況は基本的に想定できませんので。),いわゆるノーリード状態で犬を連れての散歩は,条例違反ということになります。

兵庫県の条例をきちんと理解されている方(や私の前の記事を読んでくださった奇特な方)は、何がおかしいかすぐにわかりますよね。
"当該飼い犬が人の生命等に害を加えるおそれがないとき"が想定できないのであれば、オンリードでの散歩("鎖でつなぐ等の方法で連れ出す"こと)も条例違反と断じなくてはいけません。

このコラムを読んだ多くの方は、"よくわからないけど、弁護士さんがこうやって説明してくれているんなら、ノーリードは間違いなく違法なんだろう"ということになりかねませんよね?
中学生でもわかるような論理破綻した見解を、弁護士事務所のサイトに掲載されている悪影響の大きさは憂慮すべきものです。

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親切にも?"法解釈"をしておられるサイトが対象としていることが多いのは東京都の"条例"です。念のために、その"条例"(と条例施行規則)の該当する箇所を掲載しておきます。

東京都動物の愛護及び管理に関する条例
第9条 犬の飼い主は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。
一 犬を逸走させないため、犬をさく、おりその他囲いの中で、又は人の生命若しくは身体に危害を加えるおそれのない場所において固定した物に綱若しくは鎖で確実につないで、飼養又は保管をすること。ただし、次のイからニまでのいずれかに該当する場合は、この限りでない。
イ 警察犬、盲導犬等をその目的のために使用する場合
ロ 犬を制御できる者が、人の生命、身体及び財産に対する侵害のおそれのない場所並びに方法で犬を訓練する場合
ハ 犬を制御できる者が、犬を綱、鎖等で確実に保持して、移動させ、又は運動させる場合
ニ その他逸走又は人の生命、身体及び財産に対する侵害のおそれのない場合で、東京都規則(以下「規則」という。)で定めるとき。


東京都動物の愛護及び管理に関する条例施行規則
第3条 条例第9条第1号ニに規定する規則で定めるときは、次の各号に掲げるとおりとする。
一 犬を制御できる者の管理の下で、犬を興行、展示、映画製作、曲芸、競技会、テレビ出演又は写真撮影に使用するとき。
二 犬を制御できる者が犬を調教するとき。


"ペットの関連法規の研究"をしているという方(あるいは方々)が、"動物愛護法"を"できるだけわかりやすく内容を解説"しているというサイトには、先の弁護士に劣らぬような無茶が書かれています。

例えば、東京都の"条例"第9条一項の"ロ"と"ハ"の説明。
"犬を制御できる者"という言葉について、"ロ"では "「訓練士」などを想定"していて 一般の飼い主さん"に対する条項ではないと解説されています。ところが "ハ"の方は "「移動」と「運動」が入りますので、一般の犬の飼い主さんもここに含まれる"とのこと...

いやはや、もう言葉をなくしてしまいます。同じ法的文書で(おまけに同じ条の同じ項で)全く同じに表記された言葉が、文脈によって違う意味を持っているなんていうことを、堂々と"解説"される神経が理解できません。
結論ありきで無理やり読み解こうとされるとこうなるのかな?という悪い見本のような説明です。

ちなみにこのサイトは、他の解説も含めて"トンデモ"のオンパレードです。ひょっとしたらジョークサイトとして作られたのかとも疑うのですが、鵜呑みにされる方もいるようです。情けない限りですが...

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もう一つ、ノーリード反対派の方が "きちんとまとめられている"としてリンクを貼られているのをよく見かけるサイトがあります。

ご自身で"法律家による解説"とも書いておられますし、"法律の基礎を理解していない素人の方は...自己流の法解釈を為されがちですが..."とか "間違いだらけの素人解釈"といった(エラそうな)記述をされているので、専門家なのかなと思いながら読んでみると...

いかにも"法律家"であることを誇示するかのような読み辛い文章。ですが、もっともらしく長々と綴られていても同じ内容の繰り返しで中身はそれほど充実しているとは思えません。
法令等はこう読まなきゃいけないといった解説をありがたがる方もいらっしゃるかもしれませんが、各所に散りばめられた無理解や嘘をきちんと見抜けないと、"洗脳"されてしまうかもしれない酷い代物です。

今後もそのサイトを真に受ける被害者を増やさないために、間違い(あるいは故意の嘘)の一部を指摘しておきます。

"序文"とされたページ内で、"まず動物愛護管理法とは一体、どのような法律なのでしょうか!?"という設問を設けて、"法律"第一条を引用した上で以下のようにまとめておられます。
従ってこの法律は、以下の3点を目的(立法趣旨)として立法化された法律であるということです。
@動物全般への虐待の防止
A動物全般種への愛護事項
B動物の管理に関する事項を定め、動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止すること。

そして、別のページでは"法律"第七条(動物の所有者又は占有者の責務等)のことを、"第1条の立法目的、B(動物の管理に関する事項を定め、動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止すること。)を根拠として規定された条文です。"と解説されています。

"犬に関する法令等"の記事で私も同じ条文を掲載していますので、ぜひ(もう一度)ご覧いただければと思うのですが、素直に読めば第一条で謳われている目的は以下の二つです。
1. 愛護に関する事項 -> 国民の間に動物を愛護する気風を招来し、生命尊重、友愛及び平和の情操の涵養に資する
2. 管理に関する事項 -> 動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止する

だからこそ、"動物の愛護及び管理に関する法律"なわけなのに、なぜ"愛護に関する目的"の方を隠すような嘘を書かれているのでしょう?
なお、第七条1項には、"動物の健康及び安全を保持するように努める"と "人の生命、身体若しくは財産に害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努める"という "愛護"と"管理"両面での責務が明記されています。
"一般の方"に教えてやるというスタンスなのに、"法律"の目的からして誤った解説をしておられる... この箇所だけをとってみても、まともに"動物愛護管理法"を語れる方でないことは明らかでしょう。

"管理"面を重視して東京都の"条例"第9条一項についても、くどくどと解説をされているのですが、悪質とも取れる印象操作も目に余ります。

以前より悪質な自称愛犬家らしき一般の方が、『動物の愛護及び管理に関する法律』第16条において、「政令で定める動物」(動物の愛護及び管理に関する法律施行令)の中に一般犬が記載されていなければ、「人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物」ではないなどという法律実務上ではあり得ない驚くべき素人解釈を為されていますが、

他の記述からも読み取れるのですが、このサイトを作った方は、いわゆる"特定動物"に犬が含まれていないことが気に入らないようです。
"人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物"はきちんと定義された概念で、そこに犬が含まれていないのは誰の目にも明らかです。興味ある方はぜひ調べてみてください。
"法律実務上ではあり得ない驚くべき素人解釈"といった誹謗中傷を受けるべきはいったいどちらでしょう?

そして、法令等ではどこにも書かれていない"人の生命若しくは身体に危害を加えるおそれのありうる動物"という定義を勝手に作って、犬はそれに相当するという立脚点で東京都の"条例"第9条一項を解説しておられます。
念のために書いておくと、犬を"...危害を加えるおそれのありうる動物"とみなすこと自体は間違ってはいません。条文の行間を読めばそのとおりでしょう。が、1ページの中で6回も(サイト全体では10数回も)"...おそれのありうる動物である犬"といった表現を連発するのは、非常に作為的で、悪意をもったものと感じざるをえません。

で、この方が導き出した結論の中にはこのような文章があります。

一般家庭犬の訓練に関しては、囲まれた私有地などや、その他人の生命、身体及び財産に対する侵害のおそれのない場所並びに方法(第9条一のロ)の条件を満たす以外は、
@社会的妥当性のある社会目的の要請があり、
A人の生命、身体及び財産に対する侵害のおそれがない事が利用者以外の第三者に対しては確保され、利用者相互においては、侵害のおそれが客観的に見てかなり低いであろうと思われるほどの対策がとられている。
などの要件を満たしたノーリード(放し飼い)が許可された施設や場所などの利用以外、犬のノーリード(放し飼い)は認められないという事になります。


"利用者相互においては..."というのはいわゆるドッグランの利用者を想定されているようです。が、"要件"の内容はこの方の頭の中で考えられたもの以外の何物でもありません。"ノーリード(放し飼い)が許可された施設や場所"という言葉も出てきますが、そんな文言は法令等のどこを探しても書いてありません。
東京都の"条例"には "人の生命、身体及び財産に対する侵害のおそれのない場所"という記述しかないのに、この方はどこから"許可された施設や場所"というのを引っ張り出してこられたんでしょう?

しつけのよいとか他人に危害を加えるおそれがない犬などという、各犬に対する各個人の所有者しか知りえる事の出来ない主観的な性質などによって例外規定を設けるなどという条例、条文は日本にはどこにも存在していません。

他の部分にはこのような記述もあります。
一つ前の記事で示したように、兵庫県の"条例"には "当該飼い犬が人の生命等に害を加えるおそれがないとき"という条件が明記されていますが...?

数少ないリンク先に "飼い主の資質が改善されない限り、ペットは、地球上からなくすべきもの"という過激なサイトを挙げておられることなども含んで考えると、この方は、かなりの"嫌犬家"ではないかという想像も働いてしまいます。
いずれにせよ、本物の"法律家"なのであれば、まともに法令等を読む能力のない不適格者だと思いますし、"法律家"を騙って恣意的で誤った解釈を広めようとされているなら、非常に悪質なサイトと断じざるをえません。

それなのに、多くのノーリード反対派(犬の飼い主だと思われる方も)が、このサイトを"(許可された場所以外では)ノーリードは禁止されている"根拠としてリンクを貼られていたりするのです。
そういった方々が、本当にこのサイトの記述を理解(納得)した上で紹介しておられるのかは甚だ疑問ですが...

義務教育を終えた方であれば、犬の飼い方に関する法令等はそんなに読むのが苦痛な代物ではありません。なぜ自分自身で法令等も読んで、そして考えてから意見を持とうとされないのでしょう?

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さて、いわゆる"ドッグラン"の法的位置づけについて問題提起をして、(自分で書いていても嫌になるような)くどい記事を終わりにします。

"ノーリードが許可されたドッグラン"といった言葉をあちこちでみかけますね。ノーリード反対派の方のブログ等はもちろん、地方公共団体のサイトにも記載されているものがあります。
では、ドッグランではリードを離して自由に運動させて良いというのは、法令等ではどこに書かれているのでしょうか?

本記事をまとめるにあたって私はかなり調べてみたのですが、納得できる根拠を見つけられていません。
# ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひご教示ください!

あまりにわからないので、複数の行政機関の公設ドッグランを管理しておられる部署に電話での問い合わせをしてみました。担当者の見解は、東京都なら"条例"第9条一項の例外規定によって許可されているとのこと。
ドッグランは "人の生命、身体及び財産に対する侵害のおそれのない場所"に相当するということだそうです。

いわゆるドッグランでは、利用者の飼い犬間でトラブルが頻発していることも行政の担当者は認識しておられました。ドッグランにおいて他の飼い犬を噛んで怪我をさせたといった事例はごく当たり前に起きてしまっているわけです。
言うまでもありませんが、別の犬を怪我させたというのは、明らかに"人の財産に対する侵害"とみなされます。現に侵害が発生している場所を "侵害のおそれのない場所"と認定するのはあまりにも無理がないでしょうか?
そんな道理が通るなら、"侵害が起きていない"一般の公園などでは、大手を振って"オフリード"での訓練ができる(例外規定に相当する)はずです。

私は行政担当者がこう言ったという話は、法的にはほとんど意味を持たないと考えていますので(そうでなければ行政を相手取った訴訟なんて不可能ですよね)、これをすんなり受け入れる気はないのですが、たしかに"条例"の他の部分や他の法令等を探してみても、"ドッグランではノーリードが許可されている"条項が見当たらないのです。

にもかかわらず、東京都には公設ドッグランが20ほども存在します。このページの"区立公園等におけるドッグラン設置の基本的考え方"という資料は、東京のドッグラン事情を知る材料にはなりますが、やはりドッグランの法的位置付けについては述べられていません。

この資料中には、"ドッグランを設置することにより、一般の利用との棲み分けが行われ、... 飼い主以外の公園利用者もより快適に利用できるようになります。"という効果が書かれています。また、"犬を連れていない人の入場"を禁止する規約もあるらしいことが記載されています。

つまり公設ドッグランは、池に張り巡らされたフェンスと全く同じ位置付けにおかれているということなのでしょう。一般の方が"危険な物"に近づかないように、"行政は適切な管理をしています"というアピールじゃないかと疑ってしまうのは、私がどうしようもない"ひねくれ者"だからでしょうか?

(法的拘束力をもたない)ガイドラインではありますが、"東京都動物愛護管理推進計画"には "人と動物との調和のとれた共生社会の実現に向けて"という副題が付けられています。先の記事でも説明しましたが、これは国の"基本指針"を受けた重要な文書であり、他の都道府県の"推進計画"の中でも "人と動物が調和し共生する社会"といった目標が掲げられています。

犬連れの方とそうでない方を隔離して"棲み分け"をおこなうのが"共生する社会"とは、私には到底思えないのですが...

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posted by Tosh at 08:44| Comment(9) | 雑記帳

2013年03月05日

GRTA競技会2013-1

オフリードの件を休憩して、久しぶりの日記をば。
# え〜、あのくだらない話ってまだ続くのぉ!? って声が聞こえそうふらふら

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この週末、久しぶりに泊まりがけでお出かけしてきました。朝霧高原。
GRTAの第1回定例競技会に参加するためです。

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3/3の朝、会場に着いた頃には富士山がクッキリ。もう少し早い時間ならダイヤモンド富士が見られたそうです。

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GRTの競技会に参加するのは、約2年半前の関西地区競技会以来の2回目。
その間に私とファルコのペアが成長したかって言うと... ずっとマトモに練習をせずじまいできたので、甚だ不安な状態でのエントリです。

昨年末の地区競技会を見学した際には、ちゃんと練習をしようと心に誓ったはずなのに、半月前までは雪遊びにかまけちゃってたし...ふらふら

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初めての広大なフィールドに、ファルは"遊びモード"で大興奮でしたたらーっ(汗)
結果は... なんと前回に続いて痛恨の最下位もうやだ〜(悲しい顔)。お恥ずかしい限りです。

半月前から泥縄で練習したことも実戦では活かせなかったけど、何が課題なのか私にも少し見えてきた気がします。少し前までは全てが闇の中で、何から手を付ければ良いかもわからない状態でしたから。

ダブルの競技では、完全に場所がわからなくなっていた2つ目のダミーを、私の指示も聞きながら見つけ出してくれたのは嬉しかったです!
# もっとも、それを私の元に持って帰る途中で寄り道をした上に、カミさんの姿を見つけてダミーを銜えたまま駆け寄るという大失態に終わっちゃったんですけどねがく〜(落胆した顔)。いつぞやと同じ失敗...ふらふら

能天気どうしの私とファルコのペアですから、今回の惨憺たる結果にもメゲるつもりはありません。
"迷惑だからエントリしないで!"と断られない限り、(少しずつでも練習を重ねて)競技会に参加したいと考えています!

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実はカメラのバッテリーが充電不足で(&低温のため)、ほとんど撮れなかったのですが、何枚か写真を載せておきますね。

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POOHちゃんが草むらの中(ブラインド)のダミーを探しに行くシーン。
ミドルクラスになると競技がグンと難しくなりますね。

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アドバンストクラスで2位と4位だったバニラちゃんとオペラちゃんが、競技後にご褒美をもらっているところ。後ろの子はPOOHちゃんです。

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さ、なんとか今シーズン中には、"失格"無しを目指そうね! ファル。
posted by Tosh at 23:59| Comment(4) | ワンズ日記

2013年03月09日

デュラン君、再び

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今週は本当に暖かくなりましたね。# 花粉の飛散も酷かったですが...もうやだ〜(悲しい顔)
今朝、庭でクロッカスが咲いているのを見つけました。
何ヶ月かぶりにストーブを焚いてないのに、寒さを感じない今夜です。

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今日は実家に出かけてきました。
車で向かう途中、時々窓を開けなくてはならないほどの ぽかぽか陽気。

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実家にもクロッカスが咲いていたので、ファルを伏せさせて記念撮影。

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16時半頃から散歩に出かけました。
日も長くなったなぁと感じるこの頃ですが、考えてみるともうすぐ春分なんですよね。# でも、例年なら東大寺のお水取りは寒い中ですけどねぇ...

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ここ何回か、実家での散歩は田んぼの中を通る同じコースを選んでます。
少し前に出会ったデュラン君にまた会えるんじゃないかとの期待から。

車の通らない川の向こう岸で、リトリーブの練習を少し始めてみたのですが、ファルコのノリが全くよくありません。実家の庭で遊び疲れたのかな?
意欲のない練習じゃ逆効果だと考えて、あと一回だけ短い距離で回収させて帰ろうとしていると... 対岸を黒ラブがやってくるではありませんかひらめき

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デュラン君でした!!
今回はお二人がグルッと橋を渡って走ってきてくださいました。

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さっきまでのダラケた態度が嘘のように、テンションの上がるグッド(上向き矢印)ファル。
性格や動きのテンポも似ている二頭なので、すぐに意気投合していました。

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おかあさんが小枝を取り上げると、ヤル気まんまんわーい(嬉しい顔)

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何度も仲よく取りに走っていました。
# GRTの練習もそのノリでやってくれないと...ふらふら

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念願かなって再会できて、本当に楽しかったです! ね、ファル。
次はいつ会えるかなぁ?
posted by Tosh at 23:59| Comment(0) | ワンズ日記

2013年03月21日

ナットの宿題

二年前の今頃、ナットはどんな気持ちでいたのでしょう。あんなにも人間が好きな犬が、元のご家族に突然置き去りにされた時に感じたであろう不安、そしてもちろん、元の飼い主さんのお気持ちを想像すると、今も胸が張り裂けそうになります。

東日本大震災から二年。
津波に押し流された町のガレキはほぼなくなったようですが、一向に進まない復興への道のり。福島の原発事故にいたっては、まだ被災は現在進行形です。長い冬が終わって、少しずつでも春が近づいていることを実感できるといいのですが...

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ナットを亡くしてから、人と犬の関係作りについて私は何をするべきだろうと考え始めました。"絆を結んだ"ナットに対する私の"責任"のありようを探していたと言えるかもしれません。

以前からこんなような世の中になったら良いのにと考えてきたことはありますが、あらためてそれらを整理してみる中で形になったコンセプトは、"大災害等が起こった際に、当たり前のように犬達と一緒に避難生活できる社会"ということでした。

いわゆる同行避難は、阪神淡路大震災の際にクローズアップされ、新潟中越地震等の災害を経て少しずつ日本人の意識の中に浸透しつつあったのかと思います。東京都などでは(獣医師会の働きかけもあって)早い時期から同行避難のルールが作られていたようです。が、福島の原発事故においては、少なくとも一次避難の段階では、それは実現されませんでした。

どうぶつ家族の会の"震災チャリティー大集会"に参加した際に、阿部俊範獣医師から聞いた石巻市の一次避難所の話はとても印象的でした。
震災後数日の避難所でも、ペットと一緒に避難していた部屋には笑顔があったとのこと。極限の状況下においても動物が人の支えになりえるというのは、昨今では肩身の狭い思いを強いられることが多い犬飼いにしてみると、動物は社会の"お荷物"じゃなく、共に生きる社会のメンバなんだと心を強くしたのを思い出します。
正確にはなんと表現されたのか今となっては定かではありませんが、"動物を助けることは人を助けること"といった阿部氏の主張は今も私の心に焼き付いています。

動物に優しい社会というのは、すなわち人に優しい社会に他ならないというのが私の信念になりました。

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ナットの生前から、"もしも同行避難ができていたら..."ということに何度も思いを馳せました。
が、いろいろ考えてみると、ナットの性格(行動パターン)では難しい局面が出てきただろうなと思います。

一ヶ月弱の放浪を経験する中で大きな心的外傷を負っていたようなので、震災前のナットがどんな犬だったかはよくわかりません。
が、(リードが足に絡んだ時の慣れた捌き方から)繋ぎ飼いであったろうこと、(家の中に入れた際の異常な興奮から)庭飼いであったろうことはほぼ間違いないと思っています。ウチに来て1年半経ってもファルコ以外の犬とは積極的に遊ぼうとしなかったことを考えると、他犬との触れ合いも希薄だったのかもしれません。
ひとことで言えば、あまり社会化ができていない犬でした。

人間は全て愛する対象でしたが、犬どうしに関しては、簡単に心を許すことはありませんでした。放浪中のなんらかのトラウマかもしれませんが、他の犬(特に小型犬)の警戒心に敏感で、攻撃的なシグナルを見るや吠えてしまう傾向もなかなか治りませんでした。
不安を感じている際のナットの哭き声はかなり甲高かったので、同行避難ができていたとしても、周りの迷惑を考えて一次避難所から出て行かざるをえなかったんじゃないかと思います。

ウチの周りを散歩している際に出会う犬達の中にも、共同の避難生活をおくれるだろうかと心配になる犬がいます。私がそう危惧する犬の多くは小型犬ですが、飼い主さんの足下から離れずに(いわゆる脚側で)歩いているので躾ができているのかと思いきや、犬を見ても人を見ても吠えまくるような子もいるのです。

自治体で作られている同行避難マニュアルなどでは、クレートトレーニングやトイレトレーニングのことが強調されていることが多いようですが、それ以前に、他の犬や人と仲よくできる犬に育てておかないと、一次避難の時点でもトラブルになるのは間違いないでしょう。

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では、社会化はうまくできているんじゃないかと思えるファルコの場合なら、共同の避難生活に問題はないでしょうか?

私から見るとファルは人畜無害の代表のような犬ですが、通りすがりの方が、"大きな犬は怖いねぇ"と子供や小型犬に話しかけているのを何度も聞かされています。遊んでもらえるかもしれない期待でニコニコしながら脚側停座でおとなしくしているにもかかわらずです!
たかが中型犬のレトリバーでさえこうなんですから、デーンやマウンテンドッグのような大型種など何を言われていることやら...

大惨事の最中においても礼儀正しく他者を思いやる態度を保つ日本人の姿は世界中から賞賛を浴びました。これは誇るべき日本人の美徳だと思います。が、避難生活が長引いて(特に先が見えない不安などの)ストレスがたまってくると、最初は我慢できていたこともままならなくなるのは人間として当然かと思います。
動物が苦手な方(その端的な形としての犬嫌いの方)にしてみると、犬が近くにいること自体がストレッサーでしょうから、中型犬以上はおそらく疎まれることが多くなるのではないかと危惧しています。

実際、石巻市でも二次避難所は動物連れができなかった所が多かったようです。阪神淡路大震災の際にも、最初はペット同行が容認されていたものの、時間が経つにつれさまざまな問題が浮上したと聞いています。
今回の被災地では、動物連れが認められている仮設住宅であっても、実際にはご近所さんとのトラブルでペットを他所に預け(続け)なければいけないケースもあるようです。

同行避難マニュアルを見てみると、"動物嫌いやアレルギーを持つ方に配慮しましょう"と記載されていたりしますが、"動物嫌いの方に配慮"というのはどこまでのことが要求されるのか、私にはよくわかりません。
結局今の日本の現状を考えると、動物を飼っている方とそうでない方を分離するという方法しかないのかもしれませんが、非常事態の中でそれを実現するのはかなり困難でしょうし時間もかかることだと思われます。

中型犬以上を連れての避難生活が普通にできるようにするためには、自分の犬をきちんとしつけしておくだけでは不十分で、犬がそばに居ることに抵抗のある方を減らしていくしかないだろうと私は考えています。

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"当たり前のように犬達と一緒に避難生活できる"ということを考えていく中で、犬側の問題と人側の問題が明らかになってきました。

犬の社会化(健全な成長)と、犬が居ることに人間が慣れていること。今の日本では、この二つの課題は非常に大きな壁だと感じられます。

が、ヨーロッパ諸国においては両方ともクリアされているように見受けられるわけです。もしも大災害が起きた場合でも、犬が社会の中に溶け込んでいる彼の国々では、避難生活もスムーズにいくような気がしてなりません。

東京都などでは、被災時には同行避難するよう呼びかけて(マニュアル化も進んで)いる一方で、犬を危険物と同列に扱ったり、ドッグランに隔離するという政策を進めているように見受けられます。犬を非日常な存在に追いやっておいて、同行避難がうまくいくのでしょうか?

日本とヨーロッパ諸国、いったい何が異なるのでしょうか? そしてその違いは埋められないものなのでしょうか?

先月からのオフリードに関する記事群というのは、こういった流れの中で書き留めておきたいと考えるに至ったものだったのです。

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今回の記事を書きかけてから10日以上が経ってしまいました。
文章をまとめられなかった主な理由は、花粉症(+黄砂)で体調がすぐれなかったのと仕事が少し忙しかったことです。が、大震災からちょうど二年という時期に、今なお仮設住宅で不自由な生活をされている方々がたくさんおられる状況下で、犬と人の共存の話題にばかり熱心なのは不謹慎なんじゃないかと悩んだ側面があったことも事実です。

私は被災地にボランティアに出かけることもしませんでしたし、直接的な復興支援と言えることは何もできていません。ナットと暮らした時間だけが、私にとって大災害を実感させてくれるものです。
ナットが残した宿題に取り組むことは、今回の被災者の方々には何の役にも立たないでしょう。しかし、それを後ろめたいことと思いたくはありません。いつまた起こるかもしれない次の災害時に、何か貢献できるかもしれないと信じて、私は自分が一所懸命になれることに向き合うだけです。
posted by Tosh at 23:59| Comment(2) | 雑記帳

2013年03月30日

GRT仲間とパピー達

先月からずっと楽しくない記事が多かったですし、更新も滞っちゃってるので、今回は思い切って今日撮った写真だけで軽くいきたいと思います。
# 本人は"息抜き"のつもりもあるんですが、客観的には"手抜き"ですふらふら

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気が付いたら GRTの競技会まで 1週間に迫っています。
付け刃でも練習しなきゃと考えてたら、お友達も集まってくださいました。

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左から、バニラちゃんとオペラちゃん。

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(後ろ向きだけど)POOHちゃんとファルコの4頭で、少しだけ練習をば。
ファルはというと... うーん、来週末が来るのが怖くなってきましたもうやだ〜(悲しい顔)

練習中はカメラを弄らないことにしてるのでその写真はありません。
代わりにワンズのアップを載せときますね。

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ファルより一歳年下なのにいつも落ち着いているPOOHちゃん。

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お昼ご飯をいただいたお店のテラスでくつろぐバニラちゃん。

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他の子の何倍も駆け回っていたのに物足りなさそうなオペラちゃん。

午後からは、某所に押しかけてパピーを見学させていただきました。
その可愛らしさは、下手な言葉を連ねるより写真に語ってもらうのが一番。
というわけで、解説無しの連発写真です。

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みんな、元気に育つんだよ!
posted by Tosh at 23:59| Comment(0) | ワンズ日記