2014年10月23日

向かい風

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10/19(日)、ファルペンを連れて近場のお出かけをしてきました。

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雲ひとつない空に飛行機が舞い立つ場所。伊丹市です。

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目的地はこんな所。日本レスキュー協会の捜索訓練施設です。

実は少し前から、私がハンドラで、ペニーを捜索救助犬に育成したいと考えるようになりました。

(ハナ母さんから紹介いただいて)スニッファードッグ・カンパニーの細野さんに連絡させていただいたところ、こころよく相談に乗ってくださいました。
そしてこの日は、日本レスキュー協会の岡さんが、広島市土砂災害にも出動したホープ君とともに捜索救助訓練のデモンストレーション、そしてトレーニングの第一歩の部分をお教えくださったのでした!

細野さん、岡さん(と名前を失念してしまった若手の方)、お忙しい中を時間を割いてくださり、本当にありがとうございました。

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そう、引き金はこの本達です。
樋口明雄氏の"ドッグテールズ"という短編集。実は Amazonでリコメンドされるまで意識したことのない作家さんでした。
納められている5編の小品は、どれも珠玉の輝きを感じさせるものですが、特に最後に収録されている"向かい風"に惹かれました。災害救助犬のハンドラが中国の四川地震で心に傷を負い、ある事件を通してそれを乗り越えていくという再生の物語。

ただ、犬が好きで飼っている。それだけでは何かが足りなかった。
人が犬とともに働く。それこそ最高の仕事ではないか。
(樋口明雄著「向かい風 ("ドッグテールズ"に収録)」 p.264より引用)

"向かい風"の続きにあたる長編があるというので、手に入れて読み始めたのはお盆の頃です。
"天空の犬"は山岳救助犬をメインに据えたレスキューチームの話ですが、それに感銘を受けているまさにその時... 広島の土砂災害が起こったのでした。

災害救助犬という存在には、以前からなんとなく興味を持っていました。強く意識するようになったのは、東日本大震災が起こった時に遊びに出かけていたイギリスでその活躍を目にする機会があった時です。
一週間後に帰国し自分に何ができるだろうと考えている際、災害救助犬の育成というのも頭の片隅にちらついていました。が、当時少し調べた時には、きっちりした組織の中でプロフェッショナルなハンドラが扱う作業犬という印象が強く、私が手を出せる領域ではないと思い込んでしまいました。
水難救助犬に関しては、ファルを迎える前から意識してきました。ひょっとしたら自分にもできるかもしれないという期待もあってウォーターワーク(WW)を始めたいと思っていたのです。

久しぶりに災害救助犬のことをネットで調べていると、捜索救助犬活動等をされているチーム・ステファンの相良さんのことを知りました。大きな組織ではなく個人レベルで救助犬の育成をされていること、そして地域の防災教育や防犯活動もなさっていること... 自分がやりたいことはコレだったんじゃないかと扉が開かれたように感じました。

私が住んでいるのは六甲山の中腹で、(土石流も含め)土砂災害の危険性が高い地域です。実際、8月上旬の台風11号ではウチの近所でも崖崩れが起こりましたし、山を下りる数少ない道路の一つは今も通行止めが続いています。大きな災害が起きたら、陸の孤島と化す可能性も考えられるのです。
阪神大震災の際に倒壊家屋等から救出された人々の98%は、公的な救助隊等ではなく地域の方々の尽力によるものだったと聞いています。そういった一刻を争う"共助"をおこなう際に、愛犬が役に立てる可能性もあるんじゃないかと思い至ったのでした。

去年までの3年間、私は自治会の役員をしていたのですが、地域の高齢化が進み、認知症の方が少なからずいらっしゃることも知っています。また、登山等のレジャーに来られた方が遭難されたという話も時々耳にします。
実は10日ほど前にも、二日間に渡ってヘリが上空を舞っていたことがありました。キノコ狩りの方が道に迷われたとのこと。この時は幸いにも、山で一夜を明かした後に自力で帰還されたそうですが...

私がトライしてみたいと考えているのは、地域に根ざした捜索救助犬の活動ということになります。
私はメタボの55歳。シェイプアップにも取り組むつもりですが、大災害時に被災地に派遣されるといった第一線の災害救助や、"天空の犬"に出てくるような本格的な山岳救助は難しいでしょう。
が、地域を守るという視点なら、自分だけよりも愛犬も力を貸りれば少しでも役に立てるかもしれないと思うのです。

そう言えば、かなり前に dog actuallyの記事で地域活動的な救助犬のことを読んだ記憶があると調べてみたら、京子アルシャーさんのこの記事でした。
先月、アルシャーさんの講演に出かけていったのは、直にそのことについてもお聞かせいただこうと思ったからでもあったのです。

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ペニー(と私自身)に適正があるかどうかもわからないのに、頭でっかちな私はついつい資料集めをしてしまっていました。
気がつくと、こんな書籍類が手元に... # まだ未読の本も入ってますが。

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スニッファードッグ・カンパニーの細野さんと日本レスキュー協会の岡さんにファルペンの行動パターンを見ていただいたところ、二頭とも可能性はあると言っていただけました。

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ファルはカミさんがハンドラで、既に GRTやWWに取り組んでいるので、捜索救助にまで手を広げられないかもしれません。

が、ペニーは捜索救助をメインに育てていきたいと考えています。
今まで私はオビディエンスについては興味がなかったのですが、捜索活動を想定すると積極的に取り組まなきゃとも心に決めました。
# 上の写真では、拾い食いをしようとしてカミさんに叱られてますが...

というわけで、まずは基礎であると教わったバークアラート(の前段階の吠える)トレーニングをペニーと始めたところなんですよ。

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オマケ: 今シーズンになって初めて、ストーブに火を入れました。

posted by Tosh at 23:59| Comment(6) | 雑記帳
この記事へのコメント
またユニークなことを始められるのですねー。災害救助犬、私はたしか阪神大震災の時に初めて存在を知り、やっぱり本を読んで「こんな犬たちがいるんだ!」と感動したことを思い出しました。Amazonで調べたら今は絶版になっているようですが、Usedで入手できるようです。もしご興味ありましたらぜひー。
『災害救助犬が行く』
http://www.amazon.co.jp/dp/4102107118/

日本でお世話になったトレーナーさんが災害救助犬の活動に参加されていて、お話を聞いていると犬もハンドラーもやはり命がけ。自分とは遠い領域のハナシだなあと思っていましたが、そうかー、書かれていらっしゃるような地域に根ざした活動であればもっと広がりを見せてきそうです(そういえば、上記の本にもトレッキングで行方不明になってしまった子どもを見つけ出すエピソードがあった記憶が)。ペニーちゃん、楽しんでくれると良いですね。これからどんなトレーニングをしていかれるのか、興味津々です^^

オマケ:まだ10月だし...とガマンしていましたが、私もついにセントラルヒーティングをスイッチオンしてしまいました。薪ストーブは風情があって良いですねー
Posted by tomomit at 2014年10月26日 06:52
tomomitさん、
返事が遅くなってすみません。週末は一人(ワンなし)で遠出をしていたもので...

"災害救助犬が行く"、Amazonでポチりました。楽しみです。情報をありがとうございました!

地域の捜索救助犬活動ってのに行き着いた最後のダメ押しは、"やはり命がけ"に関することでした。
WWの大会の際に話題になったことなんですが、救助犬(全般)のトレーニングをなさっている方でも、実際に本番の救援活動に参加するのは躊躇われる方が多いとの話があったのです。
私は若い頃に水泳やダイビングをやっていたので講習を受けたり練習した経験もあるのですが、水難救助(おそらくはあらゆる救助活動)の基本原則は、救助する側が二次被害に遭わないことです。なので、パニックになってしがみ付いてくる可能性の高い溺者に直接触れるというのはタブーに近い行動。
水難救助犬にしても、救命浮環を持っていく際は長めのロープで要救を遠巻きに泳いで回って浮環だけにしがみついてもらうよう狙うわけですが、うまくできなかったら救助犬が要救に溺れさせられてしまうかもしれません。
それを考えると、水難事故に直面したとしても本当に愛犬を救助のために送り出せるだろうか?と疑問が生じてしまったのです。

土砂災害や地震に関する災害救助、行方不明者の原野捜索等においても、当然なんらかの危険は隣り合わせにあるでしょう。が、死亡する危険性は水難救助犬に比べたら少なさそうですよね。なので、悩まずに救助活動に携わることができるんじゃないかと思った次第です。
Posted by Tosh at 2014年10月27日 14:18
またまた大変ご無沙汰をしております〜。^^;
久し振りに覗きにやって来ました! ^O^/

「ただ、犬が好きで飼っている。それだけでは何かが足りなかった。人が犬とともに働く。それこそ最高の仕事ではないか。」の引用文で妙に納得してしまいました。
ファル&ペニー父ちゃんがレトリバーを選んだのは必然だったのかな?と。僕みたいなものぐさで勝手なヤツにはお仕事犬の相手は出来ないんだろうと思います。かくして僕がサルーキ使いなのも必然だったのかもしれませんが。(苦笑)
それから、京子さんの講演に参加されたようでウラヤマシイです。
サルーキ使いの先輩として&獣医師の目線からのコラムやコメントは僕にもとても参考になってまーす。^^

Posted by ラフ父 at 2014年11月02日 15:30
ラフ父さん、
ごぶさたしております! # たま〜にFBを開くので、ラフくんも元気そうなのはチラチラ拝見しています。

引用した文章は、物語の始めの方に出てくるもので、OLだった主人公が災害救助犬のハンドラーになろうと思い立つ時の文章なんです。
ラフ父さんにはご存知いただいてるとおり、私も一緒に作業ができるという点で犬に惹かれている人間なもので、このセンテンスにはグッと引き込まれたのでした。
でもサルーキだって、人間と一緒に狩りをするために育種された犬ですから(獲物を人が奪い取るってのは穏やかではありませんが^^;;)、やっぱりお仕事はできるんだと思いますよぉ。

アルシャーさん、今回もいろいろなお話を聞かせていただいて、本当に刺激になりました!
# ひょっとしたら、彼女を頼ってドイツに旅することになるかもしれません。実現すると嬉しいなぁ。

そうそう、全く違う話題なんですが、カメラのボディを借りっぱなしでゴメンなさい。
実はこの秋に出ると噂されていたα99IIを買う気まんまんでいたのですが、発売中止(延期を期待したいデス)になってしまいました(涙)。最近はほとんど RX10なんていうコンデジで撮ってる軟弱者なので、フルサイズを手に入れても使いこなせるかどうかはわからないんですが...
Posted by Tosh at 2014年11月03日 15:31
あーー!
僕もすっかり忘れてました。(カメラのハナシ)
ファル&ペニー父ちゃんもAマウントでしたもんね〜。
チョイとSonyのカメラ部門も混沌としてますが、近いうちにラインナップもスッキリしてくると思いますが...。
僕はAマウントと古いレンズ達がいますから、チョイとマウント径に不安あるものの飼うなら "7S" でしょうか。(`・ω・́)ゝ
なかなか連休が取れないのですが、何とかそちら方面にも遊びに行きたいです〜 ^^;
Posted by ラフ父 at 2014年11月04日 11:18
ラフ父さん、
Aマウントはプロ志向に振るような噂も流れていますので、どこかでEマウントに乗り換えなきゃいけないのかもしれないのですが、LA-EA4を付けたα7シリーズはブサイクだし...と、まだ踏ん切りが付きません。もしα7系を買うなら、私もSを選ぶと思いますが。
来年早々の Aマウントフルサイズ機が求める方向でなかったら、商業的には大失敗/性能的にはかなり良いと言われるα77IIを買っちゃうかもしれません(苦笑)。

で、お転婆ペニーをご覧いただきたいという思いもありますし、今度は私の方から押しかけると言っておきながら、全く音沙汰なしですみません。
もしもウチの辺りが雪が少ない冬になりそうなら、豪雪地方にお邪魔しようかなぁ!
Posted by Tosh at 2014年11月04日 19:00
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