2010年10月26日

猟犬訓練の見学

ガイド系とはいえファルコというラブラドールと付き合う者として、ハンティングにおける人と犬の関係には以前からずっと興味を持っていました。GRTを始めたのも、ガンドッグの本能の部分を活かした楽しみを見つけたいという思いからです。

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昨日(25日)のことなんですが、rubyさんとご友人Yさんの紹介で、鳥猟専門のベテランハンターKさんにお会いしてきました。
Kさんは 50年前にポインターに出会われてから、この犬種一筋でキジ撃ちを続けてこられた方。猟期を前に、猟犬のトレーニングをされるのを見学させていただけることになったのです。

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日本で鳥猟をされる方の多くは、ポインターやセターを使って、探索->ポインティング、フラッシング、回収を一頭でこなされるようです。
KさんのポインターA君は、暑かったこの夏の運動不足から、ちょっと体が重い状態でした。
それでも、走ること走ること! ポインティングしている時以外は、ずっと駆け続けています。10歳とは思えない運動能力でしたが、体が良い状態だと更に1.5倍くらいのスピードだと聞いて驚きました。

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一羽目をポインティングしたところです。
あぜ道から 2mと離れていない所に、しっかりキジは潜んでいました。が、そんなに近くに居るとは思ってなかったもので、飛び立った時にはカメラのレンズにキャップをしたままで... 鳥の撮影は失敗。ふらふら

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Kさんは、猟犬との付き合いや、訓練の内容等について、気さくにいろいろと話してくださいました。
猟犬の訓練というと、きっちり(警察犬や盲導犬のように)教え込むのかと思っていたのですが、(少なくともKさんのやり方は)全く異なるようです。
探索やポインティングは(適した血統のポインターを使っている限り)ほとんど何も教える必要がないそうです。その犬が本来持っている能力を引き出してやれるように経験を積ませる。ハンドラは、良い経験を重ねられるように(そういった環境に連れ出すというような)お膳立てを続けるだけだとおっしゃっていました。
ポインターにとっては(レトリバー種同様に)回収も自然にできるようになるそうです(中には、なかなか獲物を渡さない性格の犬もいるそうですが)。本能で習得できない技術はフラッシング(鳥を飛び立たせること)だけとのこと。これと呼び戻しだけは"教える"ことをされるそうです。

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探索に関しては、Kさんは基本的には何も指示を出されません。臭いを取って、A君が自身の判断で縦横に駆け回ってキジを探します。また、どの辺りを探せと手で合図をされると、走り回りながらもその指示を読み取って、そちらの方向に"ゆるやかに"移動していました。座って指示を待って、コマンドに即座に反応するといった形式ではありません。
Kさんのお話で印象的だったのは、"自分の犬を信じきる"、"ロボットのような(常に指示を待つ)犬は要らない"といった言葉でした。
もう一つ意外だったのは、望むような行動をした場合でも、直接的に褒めることはされないということ。飼い主が喜んでいることを察知してそれが"報酬"になっているのかもしれないのですが...

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またポインティング。回り込んで写真を撮っても良いとおっしゃるので、いろんな角度で撮影している間も A君は微動だにしませんでした。
で、フラッシングの合図でブッシュの中に飛び込んで行くと、やはり数メートルのところからキジが二羽飛び出しました。素晴らしい! (なのに、また鳥の撮影には失敗 ふらふら)

Kさんはポインターにぞっこん惚れ込んでおられるようですが、いわゆるペットを可愛がるようなことは全くされないそうです。"使役犬だから..."と言っておられましたが、言葉のイメージが持つ"道具のような存在"というのとは正反対の付き合い方をされているのだろうと感じました。犬を自立した"相棒"として尊重し、信頼しあう関係になっておられるように思います。私とファルコの間にそのまま持ち込める関係ではないかもしれませんが、いろいろと考える材料をいただけたと感謝しているところです。

猟以外のことも含めていろんなお話も聞けて、とても有意義な一日を過ごすことができました。素晴らしい機会をくださった rubyさん、Yさん、KさんとA君、本当にありがとうございました!!


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主人公の出番が全くありませんでした。日曜に撮ったファルの写真も貼っ付けておきますね。

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もう一枚、オマケ。時々庭にやってくるジョウビタキの♀です。
posted by Tosh at 23:59| Comment(2) | 雑記帳
この記事へのコメント
こんにちは。
急に寒くなりましたね。散歩服も慌てて冬支度です。
ポインターくんの仕事姿、りりしいですね。
いつも思っていました…わんことて仕事をしたいだろうに…と。庭仕事でも日曜大工でもなんでも手伝いたがりますよね(おおむねじゃま・・なんですが^^)。狩猟犬として信頼され、尊敬されて仕事をしているA君、きっと幸せですよね…考えさせられます…。
最近マーク地方で山手だけでなく海岸近くでもクマが現れ、人がけがをする事件がありました。夜の散歩が怖くなりましたが、マークといっしょなら大丈夫かなと思ってみたり、本気で戦って瀕死の重傷を負ったらかわいそうだ(というよりイヤだ)と思ってみたりです。
それが彼らの仕事だったはずなんですが…。
Posted by マーク母 at 2010年10月27日 17:21
マーク母さん、
さっき昨夜のことを記事として投稿したところですが、ほんとに寒かったですね!一昨日までは Tシャツ一枚に薄手の夏用トレーナーで散歩していたのがウソのようでした。

Kさんと A君の関係は、ぱっと目には淡白な感じもするのですが、ベタベタしなくても深く繋がり合っておられるのがわかって羨ましく思いました。本文中には書きませんでしたが、"奥さんが心変わりすることはあっても、コイツだけは絶対に俺のことを裏切らないから!"と力強くおっしゃっていたのも印象的でした。

マウンテンドッグは獣から人間達を護るのが重要な仕事だったんですね... でもクマと対峙するのは絶対に避けたいところですよねぇ。あちこちで被害が報道されていますが、万が一のことのありませんよう!
Posted by ファルコのとーちゃん at 2010年10月27日 18:09
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