2012年04月21日

このサクラをずっと

今週の暖かさで、ファルコ地方はすっかり春本番の装いに変わりました。

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先週末にようやく咲き始めたサクラは、木曜日(19日)に早くもほぼ満開になりました。
寒さが長く居残った今春の遅れを取り戻そうとするかのように、他の木々も急に色付き、花を開き始めています。

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いつもならサクラより一足先に咲くユキヤナギやコブシも同時に満開になり、ウメの木にまだ花が残っている状態です。
なにもかもが一気に動き出した賑やかさには、"ちょっと待ってよ"と言いたくなるような慌ただしさも感じます。

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4月中旬からの急激な変化は、実は庭だけのものではありませんでした。

先週の水曜日(11日)の夜、ナットの首(喉)の部分にシコリを見つけました。少しだけ元気がなく、体調の変化に戸惑っているような素振りも。
12日朝にかかりつけの獣医さんで針生検を受けたところ、リンパ腫の可能性が高いとのこと。この時点では、他のリンパ節の腫れは認められませんでした。念のために専門機関に細胞診を依頼することに。

獣医師の説明に、頭がぼうっとする感覚を覚えながらも、ファルコに骨肉腫の疑いが出た時ほど狼狽していない私がいました。
ナットは原発事故の約4週間後にちょうど20Kmのところで保護された子。ばかげた素人考えかもしれませんが、一時預かりを始める時から、この日が近いかもしれないと覚悟していたからです。

もちろん、リトリーバーは腫瘍にかかりやすい犬種群であること、特にGRのリンパ腫罹患率が非常に高いことは承知しています。
今現在私は、福島の事故がナットの発症を引き起こした可能性は低いと考えていることを明記しておきたいと思います。

ただ、12日からの数日間は、やはり動揺していたのでしょう、"覚悟はしていたけど..."、"ペットの同伴避難ができていれば..."といった考えが頭の中をグルグル駆け巡っていました。そして、まだ一縷の望みを棄てきれず、専門機関の診断で"白"と認定されることを期待して待ちたいとも...

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11日の夜は少し不調にも思えたナットは、12日以降は全く普段どおりの元気さを維持していました。
週明けには私も冷静さを取り戻し、リンパ腫だったとしたら、どんな治療を受けさせるべきかを考え始めます。かかりつけの主治医の元で標準的な化学療法をするだけで良いのか?他にもっと選択肢はないかと調べ始めました。
ハナ母さんにも相談に乗っていただきながら、腫瘍に強いとされる獣医師にかかること、免疫療法等を積極的に模索されているらしい動物病院に診てもらうことも候補と決めて、専門機関の細胞診結果を待ちました。

18日の夜、主治医から連絡がありました。ほぼリンパ腫であると確定すべき結果が出たそうです。ちょうどその日には右後肢のリンパ節が少し腫れてきたと私にもわかる変化もあったので、多中心型のリンパ腫、ステージ2以降。

"サクラサク!再び"と題した記事を書きたいという私の願いは潰えました。

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19日、かかりつけの動物病院を訪ねて、治療方針について相談。
従来からお世話になっている先生は信頼がおける方で、臨床例を豊富に持っておられる他院での治療の有効性を認め、情報を提供してくださいました。
また、前夜に電話で話した免疫療法に関しても、事前に大学でそれを研究されているご友人に訊ねて、活性化リンパ球療法はリンパ腫に向かないとされていることも教えてくださいました。

ひょっとしたら他の治療法をお持ちかもしれないという思いもあって、その日の夕方に、免疫療法を積極的に進めておられる動物病院に相談にうかがいました。
が、やはり活性化リンパ球療法は使えないとの判断で、他に効果的な代替療法はないというお話。

抗がん剤治療を一刻も早く始めなければいけないことが確定しました。

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昨日(20日)の朝、本命と考えていた腫瘍に強いと考えられる獣医師のもとに向かいました。

まず、この先生がこちらが知りたいと思っているだろうことと知るべきことをきちんと把握して、丁寧かつ冷静に話してくださることに非常に好感を持ちました。
触診をしていただくと、既に体のあちこちに腫瘍があることを指摘されました。ステージ3。
その手際からも、非常に多くの臨床例を診ておられるだろうことが伝わってきます。抗がん剤の副作用に対する対応も最高レベルのものが期待できるだろうと思えました。

というわけで、ナットの腫瘍に関しては、かかりつけの病院ではなく、この獣医師に全てを託すことにしました。

火曜から水曜にかけて出張が入ることが多いと伝えると、予想していたとおり、抗がん剤投与は金曜日が最良だろうとのこと。
各種の予定もあったでしょうに、当日から治療を始めたいという無理を聞き入れてくださり、ナットを預かって検査等をしてくださることになりました。

指定の夕刻に再度訪問して検査結果を聞きます。
レントゲンでは腰の辺りにも3つほどの腫瘍が見つかりました。エコーで見る限りは、肝臓は正常ですが、脾臓にはリンパ球の塊と思われる影が... ステージ4以上です。
血液検査。成分分析は全て正常範囲内で、化学療法を施す際の障害要素は見つからなかったものの、検鏡では多数の異型リンパ球が認められたそうです。
結局、ナットは最終ステージの5aのリンパ腫と確定診断されました。

細胞診の結果からもがん細胞は低分化型。抗がん剤が効く可能性も高いものの、急激な進行がありえることも知らされます。
不幸中の幸いは、まだ各所の腫瘍が大きくない状態で発見したこと、現時点では体力等に不安要素がないことと、血液検査的にもマージンが大きそうなことくらいでしょうか。

説明の後、抗がん剤とステロイドの注射を受け、経過観察のポイント等の詳しい説明をいただいて、ようやく連れ帰ってくることができました。

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現時点では、ナットに特に大きな変化(副作用)は見られません。
抗がん剤とステロイドのどちらの影響かわかりませんが、今日になってからはほんの少しだけテンションが低いかもしれない程度です。

本犬は従来どおりに弾けたいと思っているでしょうが、当分の間はファルコとのバトルやチェイスも禁止。きっと二頭とも不条理に感じるでしょうね...

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すでに私は、今回の発病を悲しいとは感じなくなっています。
信頼できそうな専門医に出会えたことに感謝して、できるだけ冷静に、そして細心の注意を払って、ナットの生涯がより良いものになるよう努力するだけ。

ひょっとしたら私は冷たい人間なのかもしれないとふと不安も感じるのですが、ナットが完治することは期待していません。理性的な部分では"奇跡"も"運命"も信じてはいないものですから...

ですが、やっぱり心の声が聞こえてきます。
このサクラを、来年も再来年もその次も、ずっと家族みんなで楽しみたい...と。
posted by Tosh at 09:36| Comment(10) | ワンズ日記
この記事へのコメント
Toshさん
リリィのことでは、ありがとうございました。リリィは桜と共に散り、昨日チーちゃんやリュウちゃんの輪の中にいれてもらいました。
18日夜、リリィのことで電話をもらった際、”ナットも”と聞いて驚きましたが、ナットくんは若いし、元気だから、治療を頑張れば治るのでは・・と思っていましたが、検査結果のあまりにも矢継ぎ早な展開に今の私には言葉がありません。
どうかご家族みなさんお身体に気をつけて毎日を大切に楽しくお過ごしください。
Posted by リリィのかーちゃん at 2012年04月22日 16:28
打つ手がある、というのはある意味いいことなんじゃないかと思います。
うちの場合は「利尿剤で腹水を抜く」ことしか、してやれませんでしたから・・・

それと。
以前どんな飼い主さんの元にいたかわかりませんが
今、パパさんのところにいたからこそ早期に発見してもらえて
恐らく最良の、適切な治療をしてもらえるのですから
ナットくんは幸せ者なんじゃないか?とも思います。

大丈夫、きっと来年も再来年も、桜の季節を楽しめますよ。
信じていれば、きっと。
Posted by みみさら at 2012年04月22日 19:47
こんばんは。
初めてコメントさせていただきます。
一才半になる黒ラブのマハロと暮らしています。
トシエワールドさんのすぐ近くに住んでいます。
マハロは、昨年秋に靱帯を断裂し、手術をして、その後リハビリに励む毎日です。
こんな暮らしをさせてやれたら、、、といつも楽しく読ませていただいています。
ただただ驚いて、なんとお声をかけたらよいかわかりませんが、父ちゃんさんは、冷たい人間なんかではありませんよ。
自分が動揺すれば犬が不安になる、そう直感的に本能的に感じられただけだと思います。
とてもよくわかります。
そして、それはとても大切なことだと思うのです。
ナットくんなりの幸せな犬生がきっとこの先もあるはずです。
ナットくんの幸せな犬生は、まだ始まったばかりなのですから!
どうかお体を大切に過ごされてくださいね。     
陰ながら応援しております。
Posted by あっちゃん at 2012年04月22日 22:27
リリィのかーちゃんさん、
リリィちゃんのこと、さぞやお辛いだろうと想像しています。
14日にお見舞い(というよりもお別れ)に伺った際、衰弱しつつも顔を上げて甘えようとしてくれました。昔と同じように、甘えたでお人(犬)好し、とても優しい子でしたね。
まだ若い頃、初めて会った頃に、顔中どころか髪の毛までヨダレでべちゃべちゃにされたのが印象的でした。そして、いっつも笑っている性格の良さは、私がファルコを迎える際の(犬選びの)スタンダードになってしまっていました。
リリィのかーちゃんさんはもちろん、私たちにも幸せをたっぷりくれたリリィちゃん。
お疲れさま。そして、本当にありがとう!
Posted by Tosh at 2012年04月23日 07:15
みみさらさん、
まだお辛い時期でしょうに、あたたかい言葉をありがとうございます。
次の記事でも少し書きましたが、抗がん剤への反応が良さそうなので、きっと一回は寛解してくれるはずとの希望を持っています。
メインの治療は獣医さんに託すことになりますが、QOLを確保し、自分で治そうとする気持ちを高めるのは私たちの努め。そして、再発するまでの期間に一緒にやりたいことは山のようにあるんですから。
そう、私はまだまだナットとの生活を楽しむつもりです!
Posted by Tosh at 2012年04月23日 07:34
あっちゃんさん、
はじめまして。優しい気遣いに満ちたコメントをありがとうございます。
"こんな暮らしをさせてやれたら"と思っていただけているとのこと、本当に嬉しく思います。もっとも、平日はあまり一緒に遊んでやれないし、理想的な飼い主からほど遠いことは自分が一番わかってるんですけどね...
マハロちゃん、約一歳という一番ヤンチャ盛りでの靭帯断裂、本犬もあっちゃんさんも辛かったでしょうね。リハビリがうまくいって一日も早く完治して、何不自由なく"世界"を楽しめるように戻ることを祈っています。
おっしゃるように、犬たちは驚くほど人間の気持ちを汲み取りますから、私たちが落ち込むわけにはいきませんね。というか、せっかく出会えたナットとの時間を、ネガティブな気持ちで無駄に費やしたくはありません。
ナットが家族になってくれたことで、私は既に幸せを感じていますが、ナット自体にももっともっとお返しをしなくちゃね!
もう一度、ありがとうございます。
Posted by Tosh at 2012年04月23日 08:22
病気の事、大変驚きました。
言葉が見つからず、コメントするのが躊躇われておりました。

ナット君がファル家に正式譲渡された時、
前の飼い主さんを存じ上げ無いのに申し訳ないなと思いつつ、
なんて良いご家族に貰われたのだろう!と喜んでおりました。

ナット君が一生懸命走り、追いかけて掴んだ第2の犬生。
それがファル家であった事は幸運だと思います。
キチンと健康管理をされてボディチェックをして貰っていたからこそ
病気を発見できたのですから。

ルークに血管肉腫の疑いが出た時、
転移の早い病なので私も完治は考えませんでした。
それよりもいかに余生を充実させてやれるかばかりを考え調べていました。
ですので(軽々しく聞こえるかもしれませんが)お気持ちがほんの少しは理解できるつもりです。

最新の記事を読んで1回目の抗がん剤治療が順調のようでホッとしました。
ナット君との生活、まだまだ楽しまなくてはいけませんものね!
1日1日をを大切にする。
これは病気であってもなくても大事な事ですよね。
犬達と暮らしてみて、一番教えられた事はこれかもしれません。
Posted by べるーくまま at 2012年04月23日 15:23
べるーくままさん、
いつも温かいコメントをありがとうございます!
私の方はなかなかコメントも残さずじまいになっていますが、ブログの更新を毎回楽しみにさせていただいてます。同じ犬種の組み合わせというだけでなく、べるーくままさんとはワンズへの姿勢が共通しているなぁと感じて、いつも心強く思っているんですよ!

きちんと健康管理していたとか言われると、そうでもなかったので気恥ずかしくなります。昨年は預かり始めた時と2ヶ月後に血液検査をしたのですが、それ以降は無し。去年のワクチンが 4/19だったので、4/14の土曜日に定期検診も合わせてしていただく予定になっていた矢先のシコリ発見でした。
かかりつけの獣医さんでの4/12の血液検査では白血球(WBC)が少しだけ基準値を超え、炎症を示唆するCRPが高かったのですが、腫瘍医さんのところで4/20に検査した時は WBCも正常範囲内に戻っていました(CRPは測らず)。なので、血液検査を定期的にしていたからといって、もっと早いステージで発見できたかどうかはわからないんですけどね。

高齢のルーク君がどんどん生活を楽しんでいるんだから、ナットにもがんばってもらわなきゃ!ですよね。
今年こそは4ワンズでの川遊びを実現させたいな!
Posted by Tosh at 2012年04月24日 00:01
ナットのとーちゃんさん
blogチェックがおろそかになり、この記事に気付くのが遅くなりました。

低分化・高ステージの悪性腫瘍.....。
幸いイヌは病気に対する恐怖は感じていないように見受けられます。(病気に対する知識があって、今後が予測出来る人間が優れているという意味ではありません)
病気だろうがなかろうが、毎日を精一杯生きているナット君と少しでも時間を共有してあげたいですよね。
それから、今さらながら再認識しているのですが
自分の家族になる伴侶動物の特徴(性格・行動のみならず、生理学的な特徴や罹患しやすい疾患についてまで)について十分な知識を持つ事で、お互いがよりハッピーな生活を送れるものですよね。
ナット君はきっと幸せな犬生だったと思ってくれますよ。マチガイないです。
Posted by ラフ父 at 2012年04月26日 11:10
ラフ父さん、
おっしゃるとおり、ナットは病気のことなんて何も気にしていないんでしょうね。人に見つめられ、可愛がられることを至上の喜びとし、時にふらふらと探検に出かけたがる。きっと体が言うことを聞かなくなっても、同じことをしたがるんじゃないかな...
ファルコはかなり我慢もしてしまう(複雑な感情も見せる)犬ですが、ナットは何もかもがストレート。そんな直球勝負な子にとっての幸せを全面的に優先してしまうと、ファルのQOLが下がってしまいそうにも思えて... 自分の体が2つ欲しくなります。あ、本当は仕事もしなきゃいけないので3つ要るのか(苦笑)。
まだまだやりたいこと(ラフ君と遊んでもらう、多くのワンズと仲良くできる、ちゃんと泳げるようになる、...)はテンコ盛り。早く寛解してもらわなきゃ!
Posted by Tosh at 2012年04月26日 23:07
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