2010年01月25日

チヨの思い出

ファルコを飼うに至った私の犬との関わりを書き留めておきたいと思います。

私は今50歳なのですが、子供の頃から(2004年まで)実家にはずっと犬がいました。秋田犬や柴犬など日本犬ばかりで、当時のことですから当然のように外飼いです。庭に犬がいるのが当たり前と思って育ち、それなりにどの子も可愛がってきたつもりですが、その中でもどうしても記録に残しておきたい犬がいます。

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チヨというMIXの雌。学生時代に私が保健所で譲り受けて、当時から付き合っていたカミさんのアパートで一週間だけ育ててもらった後に実家の両親にプレゼントした子です。
実はその少し前にアヤという柴犬が死んでしまったのと、妹が結婚して実家を出ることになっていたので、両親が寂しい思いをしなければ良いなと考えてのことでした。それまで飼っていた犬達は、主に父が知り合いから譲ってもらっていたので、私が犬を選ぶこと自体も、保健所の譲渡会に出向いたことも初めての経験でした。
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譲渡会では、たくさんの子犬達が大きな一つのケージの中に入っていて、助け出してもらえるんじゃないかとの期待からか、参加者に必死のアピールをする姿にショックを受けました。ほとんどの犬達が興奮している中で、チヨは隅っこの方で気後れしているように見えました。体格の良いお姉ちゃんらしい犬もいたのですが、どうしても放っておく気になれなくて私はこの子を選んだのです。
手続きを済ませて車に運ぶまでチヨは全く哭きもしませんでした。元気な子を選ばなかったことを少し危惧し始めていたのですが、車中で箱から出したとたん、クンクン鳴きながら飛びついて来てペロペロと私の顔を舐め続けたのです。助け出されたということがようやくわかって、それまで抑えていた感情が吹き出したという感じでした。その後は元気一杯で、あのちょっと諦めたような弱々しさはなんだったのかとビックリしたものです。
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成長するにつれ、家族の誰もがチヨはそれまで飼っていたどの日本犬よりも賢いと感じるようになりました。保健所に保護されていた経験が関係しているのかどうかわかりませんが、人間の気持ちや汲むことに長けていて、言うことも良く聞き、細やかな感情表現をする犬になったのです。それまでの犬達が完全に外飼いだったのと異なり、チヨは短期間ですがカミさんのアパートで室内飼いを経験したことや、実家でも母がこっそり家に上げることがあったのが影響しているのか もしれません。

就職して一時期実家に戻っていた頃、毎日深夜になって帰宅する私をこの子はどれだけ和ませてくれたことでしょう。こちらの心の機微を嗅ぎ分け、直接の言葉は通じなくても何度相談相手となってくれたことでしょう。

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実家は京都府下の田舎にあります。塀に囲まれた庭で自由に遊ばせることができたせいもあって、散歩に連れ出す頻度自体は低いものでした。しかし、このようなのどかな風景の中を、呼び戻しの効くチヨと一緒に気の向くままに散歩するのはとても充実した時間でした。
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低い姿勢で弾丸のように走ってくる姿は、今も心に焼き付いています。
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2010年01月27日

NO DOG, NO LIFE

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チヨと一緒に写っているのはリュウ。正統派の北海道犬の牡ですが、犬種の特徴でもあるのでしょうが、野性味が強いというか気性が激しくて、問題行動も起こした犬です。父は接し方に一貫性が無かったのか、リュウの尊敬を得ることができず、めったに帰らないのに私をアルファだと(そして自分を次席だと)認識しているようでした。

チヨは人(に喜んでもらうこと)を気にしすぎるくらいで、人間の望む行動をするという意味でとても"賢い"犬でした。実際、誰からも可愛がられました。それとは対照的に、リュウは純粋な知性のレベルも違いましたが、自分の価値観(感情?)にのみ従って行動するタイプで、乱暴な言い方をすれば"おバカな"犬でした。チヨを虐めることもあったため、私自身もリュウには多少複雑な思いを持って接していたように思います。
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チヨが寝たきりに近い状態での一年間の闘病の末にこの世を去った後、リュウは家人からの愛情を占有できるようになったからか、かなり丸くなったように感じました。多くの人から可愛がられたチヨを嫉妬し、愛情に飢えていた側面もあったのかなと思います。

リュウは2004年の春に具合が悪くなりました。1ヶ月余りの間に何度か様子を看に行ったのですが、もうダメかもと言われてから一週間、私が帰ったところ、ずっと動かなかったのに少し起き上がって甘え、そして直後に逝ってしまいました。
実は同様のことは過去にもあります。前の記事で触れたアヤは、具合が悪くなってから数ヶ月間がんばっていました。大学が休みに入り私が半年ぶりに帰省したところ、案外元気そうに甘えてくれるのです。父母も私の顔を見たら急に元気が出てきたと喜んだのですが、その日のうちに息を引き取りました。
二頭とも、私のことを待ち続け、最後の力を振り絞って甘えてくれたとしか思えません。
みんな、ありがとう。 私もお前達のことが大好きだったよ!

幼い頃からたくさんの犬達と暮らし、そして死を経験してきました。どの子もかけがえの無い存在ですが、その中でもチヨにはやはり特別な思い入れがあります。譲渡会で貰い受けた経験も一因ですが、人を信じようとし、人に愛されて生きようとする姿勢がもっとも強い犬だったのは間違いありません。結果として、心を通わせることができたと思える"賢い"犬だったのだと思うのです。


いつか私達夫婦も犬と暮らしたいと(チヨが存命中から)ずっと思い続けてきました。できれば、チヨのような"賢い"犬、愛情深い犬が良いとも。しかし、共働きで仕事に追われ、おまけに賃貸マンション暮らしの身では、それはかなわぬ夢。それまでの犬との付き合い方から、自由に走らせることのできる庭と自然の中を散歩できるような環境は必須のものと決めこんでいましたから。

満たされぬ思いから"犬本"ばかりが増えていきます。チヨを貰い受ける際に見た、必死に助けを求める犬達の姿がずっと心に残っていて、レスキューにも興味を持ちました。10年ほど前、ARKさんに見学にうかがったこともあるのですが、ボランティアするのにも余裕がないと諦めたまま日々が流れていきました。

一方、リュウが居なくなった後も、既に年老いた両親はもう犬を迎えることはしませんでした。実家に行っても、もう遊んでくれる子達は誰もいない。だんだん私は"犬が足りない"飢餓状態に陥っていったのです。
NO DOG, NO LIFE !!

いろんな事情の結果、5年程前についに戸建住宅に移り住む決心をしたのですが、立地環境や庭の広さ等に関しては、将来的に理想とする犬との暮らしができることが最低条件。要件を満たす土地をみつけ、今の家を建てて暮らし始めたのは 2007年 5月のことでした。
posted by Tosh at 23:49| Comment(2) | 雑記帳

2010年02月07日

ファルコへの道のり

ファルコを迎えるまでの経緯をもう少しだけ書き留めておきたいと思います。NO DOG, NO LIFEの続きになります。

何とか犬を飼える家は手に入れたわけですが、犬を迎えるには課題がありました。私達は子供がいない二人暮らしの共働き夫婦で、(私の方は勤勉とは言い難いのですが)世間的には仕事人間に分類される人種でした。二人とも、帰宅するのは深夜といった生活を続けてきたのです。
犬と暮らし始めるには、まずライフスタイルを変えることが必要でした。どちらも仕事を辞めるわけにはいかないので、基本的には私が仕事を早く切り上げて家に帰ることを決意。それでも留守にする時間は毎日10時間程度にはなりそうです。そんな状態で犬を飼って大丈夫なのか、その子は不幸せにならないか? 悩みましたが、休日に充分に遊んでやることを前提に、踏み出すことを決めたのです。

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次に問題になったのは、どこから(どういった)犬を迎えるかということです。チヨを保健所の譲渡会で譲り受けた時の経験、その後"犬本"を読みあさる中で知った殺処分の現実などから、私はレスキューされた成犬を、いずれかのシェルターから譲り受けたいと考えていました。ところが、見学に行ったことのあるARKさんをはじめ、いろんな保護団体の情報を調べてみると、きちんとしていそうな保護団体は全て、留守にする時間が長い家庭は譲渡対象とならないことが判明します。私達夫婦も犬を自分達だけで飼うのは初めてですから、強く掛け合ってでも譲ってもらおうという自信はありませんでした。

(生体展示をしている一般的な)ペットショップから購入することは最初っから選択肢に入っていませんので、残るのは、ブリーダーさんで成犬を譲っていただくという方法に思えました。カミさんは(私も多少は)子犬から飼うことの愉しさを捨てきれない部分があったのですが、留守がちで迎える子犬は不憫だと思っていたためです。
若い頃から、気性の優しい大きな犬に惹かれており、グレートデーンやニューファンドランドといった大型犬に対する憧れはずっと持っていました、40歳の頃にはニューファン等のブリーダーさんを訪ねたこともあります。が、実のところ犬種や血統書というものに私はそれほど興味も知識も持っていませんでした。
留守番の時間に耐えてくれそうな、そして賢くて優しい性質を持つ中型犬(自分の年齢を考えると大型犬の介護はもう無理だと判断しました)を探していく中で、ラブラドールレトリバーに行き着いたのです。

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ラブのブリーダーさんのホームページ探索が始まりました。愛情と情熱を傾けて良い犬を作っておられるのだろうと好感を持てる数軒の中で、成犬をゆずっていただける可能性が記載されていて、しかも家からも一番近いのがトシエワールドさんでした。自分が考えていることを電話でお伝えし、相談に乗っていただけるというので車を飛ばして出かけていったのは 2008年9月のこと。
10年程前に見学をしたブリーダーさん達とは異なり、清潔で臭いも少ない事務所にまず驚きました。あまり口がお上手とは言えないかもしれませんが、青木さんのお話からは、理想とされるラブラドール像をしっかりとお持ちになってブリーディングを続けてこられたプロとしての自信と誇りが感じられます。その場で、この方を信頼してみようと考えたのを覚えています。

成犬を譲っていただくことには懐疑的なアドバイスをいただきました。トシエワールドさんの成犬達はずっと人が側にいる生活をしてきているので、むしろ適性を持った子犬を選んで平日は留守番が長いことを受け入れさせることの方が負担にならないだろうとのこと。なるほどと納得したものの、まだ子犬を購入させていただく決心はできずにいました。
その日は子犬を見せていただきに伺ったわけではなかったのですが、事務所には 8/14に生まれた"ミルク"と呼ばれている真っ白なオスが出ていました。その子のことが気になっていて、後日、子犬を譲っていただくことを決心するわけですが、青木さんの見立てにより、"ミルク"よりもおとなしい(まだ見たことのない)"ピンク"がウチにやってくることになったのでした。

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"ピンク"から名前を変えたファルコは、本当に素晴らしい遺伝子をもった犬だと思います。ただ、いくら良い犬に生まれても、良い犬に育つかどうかは私達夫婦の育て方次第。常に肝に銘じているつもりです。

パピーの頃、散歩で会う人達からは "可愛いなぁ"とか"元気一杯やねぇ"と声をかけらることが多かったのですが、最近は "きれいな犬やねぇ"とか "立派ないい犬やなぁ"と言われることが多くなってきました。でも正直に言うと、それらの褒め言葉はちょっとこそばゆい感じがしてそれほど嬉しくはないのです。
今までで最も印象的だったのは、よく会う方がこう言ってくださったこと。
 "この子はいっつも笑ってるよね!"
ラブ飼いには最高の賛辞だと思いません?わーい(嬉しい顔)
posted by Tosh at 11:42| Comment(0) | 雑記帳

2010年02月24日

チェスターを探して

前回の日記で映画"ボルト"に触れたので、もうちょっとだけ映画のことを書き留めておこうと思います。

ネットで"ボルト"の評判を調べてみたら、意外な感想が多いことにびっくりしました。それは、ラスト部分が物足りなかった、盛り上がりに欠けたといったもの。BOLTがもっとカッコ良く活躍すれば良かったということなんでしょうかね?
そんな展開になっていたら、あの作品は狭義の"子供向け"二流映画になっちゃってたように思います。あの "普通の犬"としての行動をさせたことに私は心を動かされたんだけどなぁ...
Walt Disneyは、映画を "the child in all of us, whether we be six or sixty" のために作るんだと言ったそうです。たしかに、"ボルト"は狭義には"大人向け"の作品なのかもしれませんね。

さて、一般には犬映画と分類されることはないのでしょうが、私にとってはとても重要な意味を持った大好きな映画があります。"キッド"。2000年公開のこれまたディズニー作品。
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子供のRUSTYが「40歳で、結婚もせず、パイロットでもなく、犬も飼ってない。僕はダメな奴になっちゃうんだ」と嘆くシーンが出てきます。彼は、大人になったら "世界一の犬" CHESTERを飼っているはずだと思っていたのです。

実際に観たのは数年後だったのですが、この映画の公開された年に私は 40歳になっていました。かろうじて結婚はしていましたが、なりたかった職業には就けなかったし(宇宙飛行士にもなりたかったけど NASDAの試験には受からなかったし)、なにより一緒に暮らす犬はいませんでした。
"キッド"では、経済的には成功者である大人のRUSSを loser と断じています。私は経済的にも満たされていませんでしたし、日々の生活に行き詰まりを感じている頃だったので、よりいっそう"負け犬"感を味わった訳です。
"I did it!"と言えるようになるには、本当の幸せを手に入れるには、どうしたら良いんだろう?この映画は私にずっとそのことを問いかけ続けています。

"Where's Chester?" RUSTYのように、私は自分の犬を探し続け、そしてファルコを迎えることになりました。
こういった思い入れがあるもので、犬が主人公の他のいろんな映画以上に、"キッド"は私にとって大切な"犬映画"なんです。

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<"ややこしい話をしてるなぁ... とーちゃん、ちょっと落ち着いたら" とアクビするファル ふらふら
posted by Tosh at 23:14| Comment(3) | 雑記帳

2010年03月16日

SWEDISH HERO!

一年ほど前、Photo Effectサービスの存在を知って、ファルコの写真でいろいろ遊んでいたことがありました。

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これは、Dumprというサイトで作ったもの。

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この2枚は、Fun Photo Boxというサイトで加工してもらったものです。

当時、この手のサービスがたくさんあることに驚いたものですが、すぐに飽きてしまって忘却の彼方に行っちゃってたんですが...

今日見つけて感動しちゃったのは こんなの。スゴいですねぇ!
いつまでサービスされてるか不明ですが、ご自身でも一度お試しあれ。わーい(嬉しい顔)

2012/08/12 追記:
タイトルにもした"SWEDISH HERO"の動画加工サービスは終了してしまっていたのですが、先日、新しいバージョンとともに復活していることに気が付きました。この記事を書いた時に作っていただいたのとほぼ同じ動画も再生成できましたので、興味のある方は この記事の後半をご覧ください。

posted by Tosh at 23:30| Comment(0) | 雑記帳

2010年05月13日

ラブの上下意識

以前も書きましたが、実家には私が幼い頃からずっと犬がいました。一頭だけの時期もありますが、二頭飼いだった時間もそこそこ長かったと思います。全て日本犬か、日本犬ベースのMIXで外飼いでしたから、いわゆる洋犬をしかも完全に室内で飼うというのはファルコが初めてです。

それなりに犬というのがどういう動物であるか知っているつもりになっていたのですが、ファルコと暮らしてみると、自分のこれまでの認識が間違っていた(あるいは一部の犬種には当てはまらない)んじゃないかと気付かされることがあります。
その最たるものは、上下意識とか順位付けといわれる習性について。ファルコは(犬同士でも)順位付けの観念が欠落しているんじゃ(控えめに言って非常に希薄なんじゃ)ないかと思えて仕方がないのです。また、テリトリー意識、物や場所に関する執着心もほとんど持っていないように思えます。
# 実際にはそういった性質はあるものの、それが表面に出ないで成長してきたということかもしれませんが。

実家にいた犬達は、気性の優しい子も気難しい子も、家人の中で最も言うことをよく聞くべき人間を決めているフシがありましたし、散歩で出会う他の犬との間で力関係を探る素振りを見せることも多かったと思います。
ですが、ファルコは基本的にどんな犬(体格の大小や年齢を問わず)に対しても一様にフレンドリーです。ほとんどの場合(キャンキャン吠えられるのは嫌なようで、一部の小型犬は苦手みたいですが)、敵意はないというシグナルを出しつつ近づいていってプレイバウ体制になります。
犬同士はまず相手のお尻の臭いを嗅いで、相手の年齢や素性に関する情報を集め、力関係を見極めようとするといったことが良く言われるようですが、ファルコはそういった犬社会の常識?にも無頓着なので、一部の飼い主さんからは、困った犬だと思われているかもしれませんが...ふらふら
一歳になった頃から、吠えること自体はたまにあるのですが、その対象は不審な物影や特定の物音に対してのみで、人や犬、更には猫やイノシシに至るまで、直接対峙した相手に吠えたことは一度もありませんし、唸るとか歯を剥き出すといった行動はそぶりさえ見せたことがありません。初めての場所で知らない犬に囲まれて、(警戒で)シッポを立てぎみにしていたことはありますが、相手を威嚇したり、順位付けのマウンティングなども皆無です。

ファルはトシエワールドというおだやかな気質を重視するガイド系ラブのブリーダーさんから、おとなしい個体を選んで譲っていただいた子なので少し特殊なのかもしれませんが、今までに知り合った他のラブラドール達も、同じような行動パターンを見せる子達がほとんどでした。外飼いになっているラブにはよく吠える子の割合が高そうですが、一緒に遊ばせてみると、"俺が俺が"っていう権勢欲のある子は少ないと感じています。
素人が限られた経験で判断するのは乱暴ですが、ラブラドールって犬種は順位付けの意識が希薄な個体が多いのではないか、それがこの犬種の良き気質に結びついているんじゃないかという気がするのですが、どうなんでしょうかね?
もちろん個体差はあるでしょうし、去勢していないオスのことはあまり知らないのですが...

以前、実家で飼っていた北海道犬のリュウは、順位付け意識の強い犬で問題行動(アルファシンドロームだと当時は思っていました)も起こしました。(今思うと無意味だったのかもしれませんが)マズルコントロールをやってみたり、私が完全に主導権を握っているんだという厳しい態度も取る(むろん体罰をおこなったわけではありません)ことで、私を最も信頼できる相手(=リーダー?)として認めてくれたような気はしています。

現在では、自然の中の狼の群れにはアルファは存在しないといった観察もあり、いわゆるアルファシンドロームという現象も否定されたりしているようですが、多くの犬同士に何らかの順位付け本能があること自体は事実なのかなと思います。
実のところ、飼い主が "群れのリーダー"となりえるか(なる必要があるか)どうかは私には不明ですが、上下意識を強く持つ犬種や個体では、家庭という集団の中でもポジションを明確にしてやることによって、結果的にその犬が安心して平穏な生活ができることはあるのだろうと考えています。

が、ファルコに感じているような元々順位付け意識が希薄な遺伝子を持つ犬に対して、飼い主が完全に上位だと思い込ませようとする対応は、あまり意味はない(ヘタをすると、その犬を混乱させてストレスをかけ、せっかくの良き気質を台無しにする危険性すらある)ように思うのですが、間違ってますかねぇ?

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posted by Tosh at 23:40| Comment(4) | 雑記帳

2010年05月21日

それでもイヌが好き

ファルコがパピーの頃にお世話になったトレーナーさんが、ある時こんなふうなことを教えてくださいました。
「犬には、"損"と"得" この判断基準しかないと思ってください。」

私は、理屈屋に類する人間で、迷信や思い込みを排除したいと考える質ではあるのですが、この言葉には多少の抵抗を感じたことを覚えています。つまり、「犬はそんな単純な生き物じゃなく、もっと人間に近い感性を共有できるんじゃないか?」というわけです。

そのトレーナーさんが犬のことをとても愛しておられるのはわかっていましたし、あくまでも行動科学的なトレーニングの心構えとしておっしゃられたはずで、その意味では当然だと頭では理解しつつ、何かもうちょっと情緒的なスタンスを残したいと思いたがっている自分がいたのです。

今私達夫婦は、できるだけ陽性強化のみを使うことを心がけたトレーニングを再開しています。その目的は、私達がファルコとより良いコミュニケーションが取れるようになり、絆を深めて、おたがいが楽しく暮らしていけること。
そんな中で、最近この本を読みました。

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とっても読みやすく、かつ説得力のある文章で、昨今の犬の学習理論等がわかりやすく説明されている名著だと思います。

2011/12/29 追記:
実は現時点では、"昨今の犬の学習理論等がわかりやすく説明されている"とか"名著"だとは、これっぽっちも思っていません。この本で説明されているのは、行動分析学に基づく学習理論と、他の考え方をする方への主観的(非科学的)な攻撃です。ドナルドソン氏の認識への批判をこちらに書きました。ぜひご覧ください。


この本の中でも、(私を含む)従来型の愛犬家達が思い込みたいほどには犬は賢くないことが再三述べられています。しかし、同時に、そのことが人間と犬の関係にいささかの曇りをもたらすものではないことも!
とても気に入ったセンテンスがあるので、少しだけ引用させていただくことにします。

私たちは、イヌが深いしわが刻まれた人間並みの大きな頭脳と、人を喜ばせたいという本能を持っていると信じたがっている。ところが実際のイヌの脳は人間のものと比べればつるりとした小さなものにすぎず、しかもイヌは非常に自分勝手な生き物だ。それでも私はそんなイヌが好きでたまらない。
(ジーン・ドナルドソン著「ザ・カルチャークラッシュ」 p.192より引用)

なんか、救われたような、肩の荷が下りたような気になりました。
このブログの過去の記事でも、私は、賢い犬が好きだとか、will to pleaseだとか、優しい性格だとか... 人間の基準での表現を多用しています。行動分析学的なトレーニング(コミュニケーション)と、こういった情緒的な思い入れの共存(ギャップ)に、自分自身で戸惑いのようなものを感じていたのですが、「それで構わないんだ」と心から思えたのです。

人間どうしの夫婦や親友といった関係でも、相手のことを完全に理解できるなんてことはあリ得ないし、自分の価値基準や考え方を押し付けることは不可能なはず。それでも私は、(ニヒリストにとっては幻想かもしれない)愛情や友情を信じたいし、それで良いのだと思っています。角度を変えて言うと、相手との違いを認めてそれを尊重しなければ、本当の信頼関係なんて生まれないはず。
人と犬の関係も同じなんだと、あらためて気付いたわけです。

「ザ・カルチャークラッシュ」は、犬への愛情に満ちたトレーニングの入門書です。行動科学的なトレーニングに興味のある方には、ぜひ一読されることをお薦めします!

2011/12/29 追記:
実は現時点では、"犬への愛情に満ちた..."とは全く考えていません。ドナルドソン氏への批判記事をこちらに書きました。ぜひご覧ください。


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たとえアンタが"ピーマン頭"でも、人間の基準で言うと身勝手な判断基準で行動していようとも、とーちゃんはアンタを愛しているし、より一層の信頼関係が作れると"信じて"いるからね!

2011/02/10 追記:
"ザ・カルチャークラッシュ"におけるジーン・ドナルドソン氏のスタンスについての追記(後日の見解)がこちらにあります。

2011/12/29 追記:
ドナルドソン氏への批判記事をこちらに書きました。ぜひご覧ください。


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今週手に入れた犬本。
英語力が無いくせにこんなの買っちゃって... 我ながら"おバカ"ですねぇふらふら
やさしい英語で書かれているようなので、がんばって拾い読みしてみようと思っています。

2011/02/10 追記:
"Making Animals Happy"読みました。その感想はこちら
posted by Tosh at 23:51| Comment(4) | 雑記帳

2010年05月22日

ネットに感謝!

ファルコ家は今日、犬生最良の日で紹介したことのあるQUILT CAFEさんに遊びに行ってきました。出迎えてくれたのは POOHちゃんと、その同胎犬のアイちゃん。後から永久(トワ)ちゃんも来てくれて、とっても楽しい午後を過ごすことができました!
が、カメラを忘れちゃって... せっかくのブログネタだったのにぃ〜ふらふら

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<あこがれのコッツウォルズ>
夜になってPCに向かったら、とっても嬉しいニュースが飛び込んできました。 このページです。
以前、英国でみた犬風景という記事で "これって何だったんだろう?"とイギリスの片田舎の建物のことを書いたのですが、その施設に実際に行ってきて記事にしてくださっているのです。

このしもたくさんのブログを知ったのは、Heelwork to Musicの第一人者、Mary Rayさんのことを検索している時でした。新進気鋭のDog Behaviouristである しもたくさんが、イギリスのシェルター等で活躍しながら、彼の国の犬事情/文化を発信してくださっていることを発見したのです。先月のことでした。
その後、時々覗かせていただくのを楽しみにしていたのですが、この水曜日に、ふとあるアイディアが浮かんでしまいました。同じコッツウォルズ地方に住んでおられる しもたくさんなら、件の施設のことをご存知かもしれない と。

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<老後は移住したいなぁなんて夢もあるんですが、Cotswoldsの家って高いんですよね!>

思い立ったが吉日とばかり、初めてのメールをしたためることにしました。不躾にもその中で Broadwayで見た犬の施設のことを教えて欲しいと頼んだところ... なんと一時間後くらいには、拙ブログを読んだ上で丁寧なコメント(とメールも)をくださったのです。すごいスピード!
内容は、その時点では知らないし、検索してもわからないけれど、興味があるので近々実際に調査に行ってきてくださるというものでした。なんかトントン拍子に話が進むのにあっけにとられる感じがしていました。

そして今日、なんと昨日訪問してきてくださった内容をレポートしてくださっているのです!
どんな施設だったんだろうと疑問に思ってきたのは、猟犬専門のブリーダーさんだったそうです。二年近く、疑問に思い、たまに検索してもヒットする情報が得られなくてモヤモヤしていたことが、一通のずうずうしいメールを出させていただいたら、わずか4日で解決しちゃったのです!
本当にありがとうございました。> しもたくさん

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<ちょうど1歳になった日のファルコ、鼻がまだ真っ黒>

考えてみると、今日お邪魔した QUILT CAFEさんは、みかちゅーさんのブログを通して知ったわけですし、先日会うことができた同胎犬のうたちゃんは、エリントンさんがブログを作ってくださっていたおかげでした。その他にもいろいろ...
ブログを持って情報発信しておられる方々と知り合えたことで、ファルコとの暮らしは本当に楽しいものになってきたことに改めて気付くことができました。
皆さんと、ネットに感謝!!
posted by Tosh at 23:56| Comment(0) | 雑記帳